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第4号 米サブプライム住宅ローンの闇
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チーフエコノミスト 大中道 康浩

「かつてローンの供与を簡単に謝絶された人たちに対して、貸し手が個々人のリスクを極めて効率的に判断し、そのリスクに対して的確な価格設定を行うことができるようになった。こうした進歩はサブプライム住宅ローンの急速な成長を可能とし、現在では、サブプライム住宅ローンの市場占有率は、90年代初期の僅か1〜2%から約10%まで上昇した。」−2005年4月、アラン・グリーンスパンFRB議長

サブプライムを金融イノベーションの産物として賞賛しているのは、当時のFRB議長であったグリーンスパン。僅か2年前のことである。しかし、その本人が最近はサブプライムの問題は「小さな問題ではない」と言っているのだから、これは二重の驚きだ。

そもそも、サブプライム住宅ローンは、先月初めに欧州大手銀行である英HSBCホールディングスが、100億ドル規模でサブプライム関連の償却費用を2006年決算に計上することを公表したことから始まった。その後、サブプライム業者上位25社のうち8社が、経営破たんないし自主経営が不能となり、サプライム関連の債権は、BBB格付けのもので約3割、価格が暴落するといった状況に陥った。

サブプライムの延滞率は昨年第4四半期に13.3%と前期の12.6%から上昇するなど、信用状況は急激に悪化した。 しかし、その一方で、サブプライム以外の住宅ローンの延滞率は比較的落ち着いて推移しており、住宅ローン市場全体の問題には発展していない。また、引き当て積み増しを公表した銀行・証券はHSBC以外に出てきていないし、ムーディーズ等の格付け機関がサブプライム問題の深刻化を理由に格下げを行った銀行・証券もないようだ。サブプライム関連の債権価格には反発がみられ、市場の動揺はいったんは収まっている。 ただし、市場はサブプライム問題が深刻化するリスクを意識せざるをえず、年内にFEDが50bps程度の利下げを行うことを織り込んでいる。

ところで、サブプライム住宅ローンは、債務返済比率、債務残高比率、信用スコアリングなどが規定を満たさなかったり、書類の不備などからでプライムローンの適用を受けられない個人を対象としたローンのことを指す。注目すべきは、変動金利型を中心として2004年頃から急激に件数が増加してきたことにある。

こうした急増の背景には、グリーンスパンが言及した金融イノベーションの部分も確かにあったが、今になってはネガティブな側面が大きく目立つ格好となっている。つまり、(1)住宅ブームの中で金融機関の融資基準が甘くなった、(2)当初は利払いのみで元本払い免除(インタレスト・オンリー)、あるいは当初は利子も一部免除(ネガティブ・アモタイゼーション)といった新型ローンが登場し、返済能力に問題のある個人でもローンを利用できた、(3)住宅価格上昇を期待した転売目的でのローンの組成が流行ったことなどが指摘されている。

 

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