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第24号 財政赤字で長期金利は上昇するか?
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チーフエコノミスト 大中道 康浩

財政赤字は史上最悪の規模へ
マニフェスト実現のための財政支出と税収の8兆円近い下振れで、日本の財政赤字は史上最悪の規模に到達しようとしている。財政赤字は将来からの前借りであり、いつかは返さなければならない。しかし、債務残高が膨張してくれば、増税による返済に疑問符がついて、インフレによる借金の棒引きや国のデフォルトというリスクを市場は意識しはじめるだろう。インフレやデフォルトに係るリスクは、まずは長期金利の上昇というかたちで現れるはずだが、もしかしたら、我々は既にそうした状況に近づいているのかもしれない。

こうした問い立てをすると、日本の特殊性を背景に金利上昇のリスクは小さいという答えが必ず返ってくる。すなわち、日本は世界最大の債権国で、年々の経常収支も黒字を続けている。家計部門の高い貯蓄率に支えられて、政府の借金は国内でまかなうことが可能だ。加えて、国債の外国人保有比率は5%弱に過ぎない。従って、長期金利が上昇するリスクは小さいとなる。筆者はこうした見方に対して、さほど大きな異論があるわけではないが、日本の特殊性を強調しすぎると見えてくるものも見えてこなくなると考えている。

長期金利と債務残高の関係
長期金利と債務残高との関係について、先進国ではどのような関係が成り立っていたのかを調べてみよう。先進国はOECD加盟国とし、データが欠落するメキシコやトルコなど6カ国を除いた24カ国を対象とした。
ここで、両者の関係を単純にグラフに描くとばらばらに散らばってしまうので、パネル分析という手法を用い、各国に固有の事情があって長期金利の水準に差があると仮定しよう(いわゆる固定効果を想定)。また、景気やインフレも長期金利に影響を及ぼすとみられるので、長期金利=定数項+α*債務残高GDP比+β*実質GDP成長率+γ*CPI上昇率という関係式を想定する。回帰分析は、内生性を回避するために説明変数の1期前とGDPギャップの2期前までを操作変数として操作変数法で行った。推計期間は1995年から2008年。

その結果、上記の関係式のαは0.02となるが、通常の最小二乗法による回帰分析なども行ってみたところ、このαは幅を持って0.02〜0.03あたりにあると推測される。つまり、債務残高が少ないルクセンブルグやオーストラリアから、日本、イタリア、ギリシャなどの巨額の債務国まで先進国全体をとってみると、債務残高(対GDP)が1%ポイント増えるごとに長期金利が2〜3ベーシス上昇するという関係が成り立っていることになる。この数字は、デフォルトとインフレによるリスクを織り込んで、投資家が国債購入時に要求するプレミアムに相当することを考えると、比較的穏当な数字だといえよう。

 

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