ホーム>コラム・レポート>ストラテジストコラム>第84号  新興国株式市場見通し

コラム・レポート

ストラテジストコラム

第84号  新興国株式市場見通し
1/3
投資戦略部長  門司 総一郎
ストラテジスト  木村 直登

世界的な株式市場の上昇が続いていますが、中でも大きく上昇しているのが新興国株式です。今年に入って7月末までの上昇率を見ると、日米欧の株式市場が10%前後にとどまっているのに対して、新興国の代表格であるBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)各市場は30-70%となっています。今回のストラテジストコラムでは、新興国株式上昇の背景について考えると共に、今後の見通しについても検討してみました。

グラフ「MSCI 株価指数の推移(週次、08年末=100)」とグラフ「主要国/地域 MSCI 株価指数の年初来変化率」

新興国株式が大幅上昇した背景としては、(1)先進国を上回るペースでの景気回復、(2)海外からの資金流入、の2点が挙げられます。まず景気についてですが、BRICsの製造業景況感指数を見ると昨年秋から年末にかけて急速に落ち込んだものの、その後は逆に上昇を続けており景気が回復基調にあることが分かります。先進国の景況感指数も上昇していますが、中国やインドの景況感指数が既に3月時点で中立を示す50ポイントを超えているなど、新興国の方が先行して上昇していました。この指標に示される様に、先進国を上回るペースで景気が回復しつつあることが、新興国株高の理由の一つと考えています。

グラフ「BRICsの製造業景況感指数(月次)」とグラフ「日米ユーロ圏の製造業景況感指数(月次)」

新興国の景気が先進国に先行して回復した理由については、金融緩和の効果の違いが大きかったと考えています。BRICs各国では2007年から08年にかけて政策金利が大きく引き上げられましたが、これは商品高を受けたインフレ悪化や金融危機拡大によって生じた自国からの資金流出に対応したものでした。この金融引締めが景気悪化の一因となりましたが、インフレの沈静化や金融危機の収束と資金流出一服に伴い、2008年末から09年初めにかけて各国とも金融緩和へと転換しました。元々引き締めによって景気が悪化していた分だけ、緩和による景気刺激効果があったと言えます。また先進国と異なり、バランスシートの傷みが小さいため銀行が貸出を伸ばすことができたことも景気の回復を助けました。

 

本資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、当社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき作成したものです。情報の正確性、完全性を保証するものではありません。本資料に記載された意見、予測等は、資料作成時点における当社の判断に基づくもので、今後予告なしに変更されることがあります。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断で行うようお願い申し上げます。