3月号「NAFTA再交渉の行方」

バックナンバーに戻る

2017/3/29

 

トランプ米大統領は、米国の労働者にとって有利なものとするため、NAFTA(北米自由貿易協定)の条項変更を行う意向を主張してきました。米国の大手自動車メーカーは米国内で販売する人気車種の多くをメキシコから輸入しており、今後の北米経済を見通すうえでNAFTA再交渉の行方が重要となります。
当社では、NAFTA再交渉は「ソフトランディング」シナリオを想定し、NAFTA脱退やメキシコからの輸入品への関税の大幅引き上げの実現可能性は高くないと考えています。ここでのソフトランディングは、「現地調達比率の引き上げ」と「米国内での調達比率の付加条項追加」が交渉の着地点となります。NAFTAの枠組みを維持し、メキシコ・米国間の貿易関係は継続する展開です。
まず、1つ目の着地点である「現地調達比率」について見ていきましょう。物品の原産地(国籍)を決めるルールを原産地規則といい、この規則を基準に、ある物品に占める原材料や部品の原産地の割合を「現地調達比率」といいます。現在もNAFTA域内で関税の免除を受けるためには(NAFTA域内の)現地調達比率の基準を上回る必要があります。次に、2つ目の着地点である「米国内での調達比率」ですが、これは原産地規則の基準で米国が原産地となる割合です。

 

この比率の引き上げによって米国での生産増加が見込めます。当社が「ソフトランディング」シナリオを想定する根拠は以下の通りです。


①:NAFTA脱退やメキシコからの輸入品への関税の大幅引き上げは米国にも多大なリスク(メキシコによる報復措置、WTOルールへの抵触)を伴う。
②:現地調達比率の引き上げはNAFTA域内に大きなメリットが見込めることから、米国にとっても受け入れやすい。
③:米国内での調達比率の付加条項の追加はメキシコにとっては不利に働くように見えるものの、米国内での調達比率が過度に高くならなければ受け入れ可能な条件である(NAFTAを維持しつつ両国間の関税は優遇的な水準を維持できメキシコ進出企業も生産を継続しやすくなるため)。


よって、トランプ政権が打ち出すNAFTA脱退や輸入品への関税引き上げなどの「ハードランディング」につながりうる選択肢は、交渉を有利に進めるための材料にすぎないと考えられます。

 

現地調達比率


 

■当資料は情報提供を目的として大和住銀投信投資顧問が作成したものであり、特定の投資 信託・生命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。■当資料は各種 の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するも のではありません。■当資料に記載されている今後の見通し・コメントは、作成日現在のもので あり、事前の予告なしに将来変更される場合があります。■当資料内の運用実績等に関する グラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。■当 資料内のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。

PICKUPコンテンツ