マイナス金利で個人金融資産はどう動く!

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2016/2/22

株式運用部

小出 修

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

連日のようにメディア等で報道されているマイナス金利の影響、まるで、預金者の普通預金や定期預金にマイナス金利が、ある日突然導入されてしまうのではないかという恐怖感を国民に植え付けてしまったような気がします。初めての事なので、多少の混乱は仕方がないでしょうが、実際に起こった事実を整理してみます。

まず、大手行の普通預金金利については、下表のように年率0.02%から同0.001%へと20分1に引き下げられました。20分の1というと、ものすごく下げられたような気がしますが、元々の水準がかなり低い金利なので20分の1になったところで、大きな影響はないと思います。

つぎに、高金利で有名なオリックス銀行の定期預金金利の場合はどうでしょうか?2週間定期預金が年率0.20%から同0.15%に低下、1年定期預金は同0.25%から同0.20%に低下しました。これからまだまだ金利が下がる可能性はあると思いますが、いずれにしてもまだ十分に魅力的な水準が維持されていると思います。

主な金融機関のマイナス金利導入前と現在の金利比較

日本株ファンドマネージャーの私としては約1,700兆円もある個人金融資産の内の約半分を占める現預金が今回のマイナス金利政策でリスク資産である日本株に向かってくれることを期待したいところですが、残念ながら以下の理由により難しいのではないかと思います。

①もともと普通預金は十分に低い金利で、かつ決済口座として利用されている。

②利殖目的の定期預金金利も低下しているが、まだ十分に魅力的な水準が維持されている。特に金利に敏感な人々の利用する大

 手行以外の定期預金金利は十分に魅力的な水準を維持している。

③マイナス金利はあくまでも特殊な金融政策である。むしろ、マイナス金利政策を取らなければならないほど日本経済、または

 世界経済は大変なことになっているのかという将来に対する不安がどうしてもつきまとう。従って、安全資産、すなわち現預

 金が選択されてしまう。

④国民の現預金の受け皿として大きく期待されて上場した郵政3社の株価がマイナス金利の悪影響を受けて大幅下落し、安定業

 績、安定高配当のイメージが崩れてしまった、などです。

 

では何があれば現預金がリスク資産へシフトするのでしょうか?黒田日銀総裁は『更なるマイナス金利の拡大も辞さない』と発言していますが、仮にそうなっても銀行の預金金利はマイナスにはならず、おそらく振込手数料やATM利用手数料が引き上げられ、口座管理料のようなものが導入されることになるでしょう。その際には当然、投信や外貨預金、住宅ローンなどを利用している利用者には優遇処置がとられることになると思いますが、それでも現預金がリスク資産にシフトすることはないでしょう。

 

最も大事なのは上記③の懸念を払拭することだと思います。即ち世界景気の回復と日本経済の持続的な成長に国民が自信をもった時に個人の金融資産の現預金は大きくリスク資産に流れ込むことになると思います。金融政策だけに頼るのではなく、アベノミクスの3本の矢に原点回帰し、第1の矢の大胆な金融政策以外の第2、第3の矢を強力に実行するべきだと思います。特に、第3の矢の成長戦略は実行不足で、統合型リゾート(IR)を推進する法案(カジノ法案)も未だに成立していません。

本来、デフレ脱却に向けて行っている金融政策なのに、長期金利(10年)がマイナスになるとは、市場がデフレ脱却は困難であると見抜いている証ではないでしょうか。だとすれば、やはり長期金利が少し上昇、すなわちデフレ脱却への道筋ができ始めて、初めて個人金融資産がリスク資産へ動き始め、日本株も再び持続的な上昇をとり戻すことになると思います。

 


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