変化を迫られる企業

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2016/8/29

株式運用部 

部奈和洋

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

「社長に対する反対票が急増してしまい困惑しています。」とおっしゃっていたのは、今回の株主総会で、社長の選任議案に対して反対票が大きく増えた企業の最高財務責任者の方でした。同社は不採算部門を抱えていることもあり、ROEは長年に渡り低水準で推移しています。このことが、今まで以上に反対票の増加につながっている可能性もあると考えられているようでした。

 

議決権行使助言会社大手のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は、過去5年平均のROE、もしくは直近決算期のROEが5%未満の企業の取締役選任議案に対し反対を推奨すると、2014年11月に発表しました。その前に公表された伊藤レポートにより、ROEへの関心が高まっていたこともあり、このことは市場で大いに話題となりました。特にROEの低い企業の担当者が、どう対応したらよいのか困惑する姿があったように思います。そのような中で行われた2016年3月期の株主総会でしたが、大きな混乱やサプライズはなく、幾分拍子抜けだった印象を持ちました。

 

2016年の株主総会においても、創業家と経営陣の対立などはあったものの、取締役の選任に関しては、あまり話題にならなかったと思います。ただ昨年度と比較すると、特に低ROE企業に対しての株主の見方は、より厳しくなっているようです。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の調べによると、TOPIX500に属する企業の株主総会での経営トップの選任議案に対する賛成比率は95%程度であるなか、ROEが5%未満の企業に関しては88%に留まっており、前年よりも低下しているそうです。下記の表は、TOPIX500に属する企業のうち、2016年の株主総会で経営トップの取締役選任議案の賛成比率が85%を下回り、かつROEが前年よりも低下し5%を下回っている企業の一覧です。このなかには、来年に向けて、株主の賛同を得られるような策を考えてくるところもあるでしょう。

 

今期は、円高などにより景気回復が足踏みしており、経営環境は厳しくなっています。このため構造改革など抜本的な対策を行わなければ、低いROEを改善させることは難しい企業もあるでしょう。私たちは機関投資家として、トップマネジメントの方とのミーティングを行う機会をいただいています。この機会を通じて、企業価値の向上につながるような議論をしていきたいと考えています。

 

※一橋大学の伊藤邦雄教授を座長とする経済産業省のプロジェクトの最終報告書「持続的成長への競争力とインセンティブ―企業と投資家の望ましい関係構築」

 

2016年に経営トップの取締役選任議案の賛成比率が低かった企業リスト


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