栄枯盛衰スマホゲーム株の異端児を探せ!

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2016/11/14

株式運用第一部

永田 芳樹

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

先週トランプ大統領が誕生した翌日11月10日の東京市場は金融株を中心に大幅上昇し、前日の下げを全戻して取引を終えました。そんな高揚感のあるマーケットの中で、スマートフォン向けゲームで一世を風靡したコロプラの株価が20%以上急落しました。前日の取引終了後に9月本決算を発表したのですが、その内容が非常に悪い内容でした。

コロプラ9月決算

 

コロプラは日本国内市場で絶大な人気を誇った「白猫プロジェクト」「黒猫のウィズ」など、毎年安定的にヒット作を生み出してきた開発力に定評がある会社です。2016年9月期から新規に子会社を連結対象としましたが、過去最高の売上高と利益を達成し、新年度はさらに飛躍が期待されていた銘柄でした。

 

ところが新年度は表のとおり、驚愕の減収減益計画でした。会社四季報の営業利益予想は400億円ですから四分の一近くの利益見通しです。会社は「スマホ市場の成熟化」と「注力分野のVRゲーム市場との端境期」のため減収減益で保守的予想と言っていますが、会社予想が市場期待を大きく下回っていることもあり、さらなる調整リスクもあると考えられます。

 

「スマホ市場の成熟化」は実は2年ほど前から始まっています。矢野経済研究所が3月に発表したスマホゲーム市場の推移によると、2014年度9,000億円近くの市場規模に拡大したあとは、数%の成長となっています。コロプラは2012年12月に上場しました。携帯電話のブラウザゲームからスマホに移行する中、ヒットゲームを連発し成長してきた会社です。

国内スマホゲームの市場規模

コロプラが急成長できた理由は、スクウェア・エニックス、カプコン、コナミといったコンソールゲームで実績ある会社がスマホゲームに本格的に取り組む前に、時代を先読みしスマホにフォーカスしたことです。さらに優秀な開発人員を揃えた上に、セルサイド出身のゲームセクターアナリストを管理系のトップに据えるなど、卓越した経営センスを持った会社だったからです。

 

ところが図のように巨大な日本のスマホゲーム市場はシェアを取り合う成熟市場にあっという間に変貌しつつあります。先日久々にDeNAの決算説明会に出席したのですが、DeNAの得意なブラウザゲームの縮小とスマホゲームの成熟化を当たり前のようにコメントしていました。DeNAは2000年代後半に携帯ゲームで利益を拡大した会社ですが、その前はオークションサイトの運営企業でした。そのためかゲームで利益があがっているうちに様々なものに投資し、キュレーションアプリやプロ野球などで収益の多角化が進んでいます。

 

一方、コロプラは携帯電話の位置情報サービスから始まっていますが、ゲームの収益化が創業後間を置かず起きたため、ゲームの一本足打法です。この点はDeNAと大きな違いで、DeNAと同時期に同じビジネスモデルで一世を風靡したグリーが、新規事業分野の展開に苦しんでいるのに似ています。

 

面白いことにコロプラもグリーもバーチャルリアリティを次の成長のドライバにしていますが、これも私は現状では消費者に受け入れられるか懐疑的です。私の長年の経験だと退潮期に入ったネット関連企業は、好調な時に増やしすぎた人員や子会社、そしてテレビ広告費が重荷になります。それをコントロールしながら最初は利益をそれなりにつくってくるのですが、投資を減らしたことで売上が継続的に下がる負のスパイラルに入ることが良くあります。コロプラはまさにその開発力を生かして白猫に変わる大ヒットを飛ばせるか、新年度は正念場と言えます。

 

ところでこのように考えていると、スマホゲーム株は投資する価値がないように思えます。実は時価総額が小さくても、成長できる企業はまだあるのです。その特徴は大ヒットでなく中ヒットを継続的に出せる会社、そして収益源がゲームだけでない会社です。巨額の開発予算を持つ会社が必ずしも大ヒットを出せていないことを考えれば、大ヒットが継続的にでる確率は小さいといえます。ただ中ヒットならその会社の企画力と運営ノウハウでなんとかなります。またゲーム以外の収益源があれば、それで社員を養うことができるので、ゲーム開発に余裕が生まれます。不安の中では良い遊びは生まれてきません。

 

近年のアナリスト、ファンドマネジャーの短期業績を当てることに注力するリサーチだと、今期最高益のコロプラは魅力的です。ただ株価の動きはそうはなっていません。日本のゲーム市場は巨大なだけにきっと次のヒーロー銘柄が出てくるでしょう。経営の本質を追求するリサーチが次の長期上昇銘柄を教えてくれます。

 

 


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