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2016/11/21

株式運用第一部

部奈 和洋

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

注目された米大統領選は大方の予想を覆す結果となりました。日本の株式市場は、選挙当日こそ不透明感から急落しましたが、米国市場の上昇や円安を受けて、翌日から反騰に転じ、週末の日経平均株価は、1月以来となるザラ場での18,000円台を回復しました。その中では、バリュー株が相対的に強い上昇となっていることも特徴の一つといえます。

 

各地域のValue/Growth指数推移と米10年債利回り

出所:Bloomberg

※2009年4月3日を100として指数化。米国はS&P500、欧州はMSCI、日本はTOPIXの各バリュー/グロース指数。

 

上の表は、日本、米国、欧州市場におけるバリュー/グロース指数の推移を、リーマンショック後の2009年4月を起点に作成したものです。ご覧のように、細かい上げ下げはあるものの、期間を通じて一貫して低下、つまりグロース株が優位の相場展開となっていたことがわかります。この背景として考えられているのが世界的な長期金利の低下です。例えば、米国10年債利回りは、リーマンショック後の金融緩和政策により、2012年以降は1.5%から3%の間で推移しています。過去、2%を下回ったのは、1941年だけですので、歴史的に見て、過去最低水準の金利が数年にわたって継続していることになります。

こうした環境下で、昨年株式市場で流行した投資手法の一つが、最小分散投資です。一部で、債券代替のような取り扱われ方をして、資金流入が続きました。この投資手法で買われたのが、その多くがグロース指数に分類される食品や医薬品銘柄です。一方で、低金利や規制強化によって、以前のような高成長が見込みづらいとの理由から相対的にアンダーパフォームを続けたのがバリュー指数に多く分類される金融銘柄になります。

 

そんな中、足元で急速に米国長期金利が上昇し、バリュー銘柄の見直し買いが入っています。特にトランプ次期米大統領の決定以降、今年に入って初めて長期金利が2.3%を上回ったことも後押しとなりました。米議会の上院下院のねじれが解消されたことも寄与し、トランプ氏が打ち出している、減税やインフラ投資促進構想の実現性が高まり、景気の加速が意識されたためです。また、金融機関に対する規制の緩和報道が、金融株を押し上げる効果を生みました。

 

今後に関していえば、業績面が後押しとなり、バリュー優位の相場がしばらく継続すると考えています。

 

これまで株式市場で買われていた製菓メーカーは、拡大が続いていた売上の伸びに減速感が見られるとコメントしています。また、先日、子供のスイミングについて行った時、横でお母さん方が子供そっちのけで、しきりに野菜の値段の高騰影響について話していたことなどを考えると、家計の消費動向に変化がでてきたのかもしれません。

 

一方で、これまで受注減少が続いてきたある機械メーカーは、中国受注が底入れしたとおっしゃっていました。同じように、足元をボトムに業績改善のきざしが見えてきている企業が出てきています。さらに、足元で進んだ急速な円安は、バリュー指数に多く分類されている外需関連銘柄の今後の業績を引き上げるでしょう。2009年以降、バリュー相場は、きても短命に終わっていますが、今回は違うかもしれないという感覚を持ちながら、今後の展開を注意深く観察していきたいと思います。

 

 


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