メキシコに行って初めて分かったUberの価値~Uberの優れた点は相互評価と料金前決め制にあり!~

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2017/3/27

株式運用第一部

上石 卓矢

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

働き方改革の影響か、弊社で有給休暇取得率向上の取り組みがあり、メキシコに10日間旅行してきました。メキシコシティ→メリダ→カンクンというルートです。今回はストップオーバー(乗継地で24時間以上滞在)かつオープンジョー(到着地と出発地が異なる)という複雑な航空券だったため、久しぶりに旅行代理店で航空券を予約しました。というのは、アエロメヒコ航空の公式サイトや格安航空券比較アプリでは複雑な航空券の予約が不可能だったのに対し、某旅行代理店のサイトだけは優れたシステムにより予約が可能だったためです。同社は、航空運賃の安いイタリアのトリエステ空港からバスを出してクロアチアに旅するルートをつくったり、今後日本で広まりそうなウェディングフォトを組み込んだ旅行プランを用意したりと、個人にはできない面白い企画をつくる力があり、以前から気になっていました。働き方改革が進めば、社内のコンセンサスを取りやすい有給休暇取得率向上と残業時間縮小が他社でも予想されるため、恩恵を受ける旅行代理店への投資はいいな、先日の取材でも欧州向けツアーや団体旅行が回復傾向だったな、などと考えながら飛行機に乗りました。

 

現地の治安状況があまり良くないと聞いていたこともあり、人通りの少ない場所と夜の時間帯は歩くのを完全にやめようと決めました。また流しのタクシーも強盗や料金トラブルなどのリスクを考え、積極的に利用する気になりませんでした。

 

そこで役立ったのが配車サービスのUberでした。Uberは観光名所やレストランから車を呼べて外に出る必要がない他、車内も安全です。料金の面でも、乗車前に運賃が確定し、ドライバーにクレジットカードを渡すことなくアプリ上で支払いができます。しかも私が利用した際の乗車賃はタクシーの3分の1でした。また、自動車や運転技術の面でも、タクシーがボロボロの中古車で車酔いになるような運転だったのに対し、Uberは最新の日本車で運転もすごく丁寧でした。おまけに、Uberのドライバーは携帯充電やミネラルウォーターなどを自発的に提供し、サービスの面でも優れていました。

 

今までアジアの先進国でしかUberを使ったことがなかったため、運賃が安い、需給のマッチングが早い、好きな場所で車を拾えて便利、という点がUberの優れた点だと思っていました。しかしメキシコに行ったことで、Uberの価値は相互評価と乗車前に運賃が確定する制度にあると初めて分かりました。Uberにはユーザーとドライバーがお互いに相手を5段階で評価する機能があります。これにより、ドライバーには乗り心地の良い自動車・運転・サービスを提供するインセンティブが生まれ、犯罪をたくらむドライバーが淘汰されやすくなります。また、前述の料金制度により、支払いを巡るトラブルが減少する他、ドライバーに早く目的地に到着するインセンティブが与えられます。最近のUberは企業倫理や高い評価額が批判されていますが、世界的には配車サービスの方がタクシーより安全性・料金・サービスの面で優れていることが多い他、配車サービスのユーザーもドライバーも継続利用を望んでいると思われるため、配車サービスの利用者は今後も増えるのではないでしょうか。

 

仮にUberなどの配車サービスの普及が進んだ場合、株式市場への影響としては、短期的には日本車の世界シェアが増加することで自動車業界にポジティブと見ています。目先は配車サービスやタクシー、自家用車が併存するため、世界の新車販売台数への影響は限定的な一方、乗り心地・燃費・安全性に優れた日本車が配車サービス用の車として選ばれやすいと予想しているためです。実際、複数国でUberを利用した際には、日本車の割合が高かったです。中期的には、タクシーや自家用車の需要減少によって新車販売台数や総保有台数の伸び率が鈍化する一方、安価で優れたサービスの普及により自動車の総走行距離は増加するため、業種毎で影響はまちまちと見込んでいます。具体的には、新車販売台数や総保有台数の減少によって完成車・自動車部品・非鉄鉄鋼・化学・駐車場・中古車関連事業に、代替サービスの競争力増加により鉄道・バス・タクシーなどの運輸にネガティブと見ています。一方、総走行距離の増加によってガソリン・タイヤ・補修部品・修理サービス、安価な移動手段の出現によって飲食・エンターテインメントにはポジティブと見ています。長期的な予想はいつも難しいのですが、uberPOOLなどの相乗りサービスの普及率と自動運転の進展に注目しています。

  

 


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