危機を考える

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2017/5/1

株式運用第一部

部奈 和洋

 

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

皆さんもご存じのように、4月の日本の株式市場では防衛関連銘柄が物色されました。ここまで有事が意識されたことは、近年にはなかったと思います。4月半ばには、政府が「弾道ミサイル落下時の行動について」といった注意をホームページ上に掲載したり、避難訓練の実施を呼びかけたりといったこともありました。芸能ネタの多い昼のワイドショーでも、この話題で持ち切りだったようです。我が家でも、水と子供用のおむつだけは少し備蓄したようです。そんなこともあり私は今、危機対策、特に企業や行政の動きに関心を持っています。ただ、残念ながら4月は決算発表までのサイレント期間にあたる企業がほとんどのため、直接話は聞けていません。しかし、事業継続計画(BCP)の見直しや、各種セキュリティの強化といった動きが強まる可能性を感じています。そこで、危機管理ビジネスについて少し考えてみました。

 

矢野経済研究所は、危機管理ソリューションの市場規模は2016年度に約9,000億円の見込みと発表しています。前年度比では約+6%とのことです。なお、ここでの危機管理ソリューションは、事業継続(BCPコンサルティングなど)、防災(防災行政無線システムなど)、情報セキュリティ(サイバーテロ対策など)に関連することを集計した数字になっているとのことです。東日本大震災や熊本地震といった災害、サイバー攻撃や不正アクセスの発覚などが動機づけとなって、市場は拡大してきているようです。そして、東京五輪を控え、安定的に成長すると予想されています。

 

個別企業を取材していても、危機管理がビジネスに結びついている例を聞くこともあります。一例としては、データセンターが挙げられます。先日、都内にあるデータセンターを見学させていただきました。こちらの会社は優れた耐震性と信頼性の高い電力供給体制の下で大量のデータを厳重に管理しているのですが、物理的、また人的なセキュリティ対策にも余念がありません。例えば、事前に申告して許可を得ているにも関わらず、受付で免許証の提示を求められました。このような危機管理への取組なども評価され、同データセンターへの引き合いは非常に高いとのことでした。ただ、一般的に言われるように、欧米先進国に比べて、日本企業の危機管理のニーズは低いと感じることもあります。例えば、顧客企業の従業員が海外で病気や事故、事件にあった際の手助けをするアシスタンスサービスを提供する会社の方によれば、欧米の大手企業の8割程度が同様のサービスと契約している中、日本企業は2割程度しか契約していないということです。足元でも欧州でのテロが相次いで報道されるなど、欧米と日本では環境が異なることは言うまでもありませんが、グローバル展開を加速させる企業にとっては、こういったリスクも避けては通れないでしょう。

 

以上のようなことから、日本の危機管理市場はまだ伸びる分野だと考えます。しかしながら、対策が多岐にわたっていることや、効果がすぐに見えないことなどから、非常に分かりづらい領域でもあると思います。私自身も、どのような銘柄に投資をしていけば良いか考えているところです。今後、注目していきたいと思います。

 


■当資料は情報提供を目的として大和住銀投信投資顧問が作成したものであり、 特定の投資信託・生命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。 ■当資料は各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を 保証するものではありません。 ■当資料に記載されている今後の見通し・コメントは、資料作成時点におけるレポート作成者の 判断に基づくもので、事前の予告なしに将来変更される場合があります。 ■当資料内の運用実績等に関するグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を 約束するものではありません。 ■当資料内のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。

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