第4次産業革命で追い込む

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2017/7/3

株式運用第一部

永田 芳樹

 

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

「第4次産業革命」という言葉を耳にすることが多くなりました。「産業革命」は1837年にフランスの経済学者アドルフ・ブランキが提唱したもので、1760年代から1830年代にかけて起こったイギリスの蒸気機関による自動化を指した言葉です。その後、欧州、アメリカ、日本など各国でも産業革命が起こり、現代ではこの流れ全般を指すことが一般的ですが、その後の変革を含めて表現することもあります。

産業革命

 

上の図は産業革命の果実として産み出される利便性の観点から1次から4次まで産業革命を分けたものです。第一次産業革命以降、世界で標準化された定義はないものの、第3次産業革命まで一貫しているのは、機械生産、標準化・規格化、大量生産など、物質的な豊かさの追求に軸が置かれている点だと考えます。

 

日本では今年5月、経済産業省が第4次産業革命へ的確に対応するために官民の羅針盤となる「新産業構造ビジョン」をとりまとめました。このビジョンの中に書かれた第4次産業革命の第一幕によると、日本ではインターネット上のデータ競争でプラットフォームを海外に握られ「小作人化」した産業もあることを反省しています。第2幕では健康・医療・介護、製造現場、自動走行、現実世界の「リアルデータ」を巡る競争が起こると想定しています。その上で、日本の強みである「リアルデータ」の蓄積力やモノを改良し刷新し続ける力はもちろん、日本が直面している高齢化社会という課題も逆手に取り、日本の強みとして活用していくという提言をしています。

 

このビジョンを見てもわかる通り、第4次産業革命で重要なのはデータです。インターネットやデータの基礎的なプラットフォームでは既にグーグルやアマゾンに太刀打ちできない日本ですが、リアルデータではまだ世界でリーダーシップをとれる可能性があります。例えば日本には世界に誇る国民皆保険制度がありますが、これにより膨大な診療情報をどの国よりも効率的に蓄積することができます。大量のデータを蓄積することで高齢化社会の課題点の分析・可視化を速めることが期待されます。昨年度からは、国立病院機構が、全国41病院から収集した膨大なデータを蓄積するデータ集積基盤を稼働させています。また、給付でなくサービスの提供という世界でも独特な仕組みをとる介護保険制度はデータの宝庫です。この健康増進と医療のビックデータについて日本は世界のトップランナーになる可能性を持っています。

 

第4次産業革命ではビックデータやAI、IoTといった手段が注目されている印象を受けますが、私は第3次までのものとは質の異なる革命だと考えています。例えば、自動運転は技術そのものよりも、それが与えてくれる心や時間のゆとりが魅力です。また国民の健康にまつわるビックデータも、データを蓄積するだけではなく、健康寿命を延ばすために活用することで大きな威力を発揮します。

第4次産業革命の本質は、日々の生活や人生の「ゆとり」であると考えます。第4次産業革命が引き起こすこれからの変化を考えると、サービス業が多い小型株を地道に探すことで、これからの成長企業が見つかりそうです。

 

 


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