若者の○○離れ

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2017/7/10

株式運用第一部

部奈 和洋

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

JR山手線の日暮里駅前のパチンコ店が、大手ドラッグストアチェーンの店に変わっているのを帰宅途中に見かけました。パチンコの店舗数は1990年代半ばをピークに減少が続いていますし、昨年度に大きく落ちこんだ売上高も下げ止まる気配がないようです。パチンコ業界に対する規制だけでなく、若者のギャンブル離れが相当強いためだろうと考えていた時に、あるアナリストから公営競技の一つである競馬業界では、若者のギャンブル離れと逆行する現象が起きているとの話を聞いたので、状況を調べてみました。

 

競馬をはじめとする公営競技の売得金(競馬においては、勝馬投票券の発売金から返還金を引いたもの)の推移をまとめたものが下のグラフになります。

公営施設の売得金

出所)各種資料より大和住銀投信投資顧問作成

 

上のグラフから分かるように、中央競馬は97年、地方競馬は91年をピークに売上の減少が続いていましたが、ともに2011年を底に回復に転じています。特に落ち込みが大きく、多くの主催者が赤字に陥っていた地方競馬は2015年以降、底から50%近くの増加率になっています。数年前まで存続が危ぶまれていた高知競馬や帯広のばんえい競馬は過去最高額を更新しています。

 

この躍進の主要因はインターネットを使った投票の確立です。最近はますます便利になってきており、スマートフォンで容易に投票できるようになっています。このシステムの確立によって、主に週末にレースの行われる中央競馬よりも、平日にもレースが開催される地方競馬の方が恩恵を受けたと考えら

れます。そしてアナリストの分析によると、インターネット投票の利用者は20-30代の比率が従来よりも大幅に高まっているとのことです。実際に私の周りでもスマートフォンで投票ができるようになってから競馬を始めたという知り合いが二人います。こういった若者の参加は大きな変化だと思います。

 

さらに業界を挙げての取り組みも忘れてはいけません。競馬場といえば、中高年男性が多く集まっているイメージが強い場所でしたが、実際に訪れると、JRAのCMでもみられるように、女性グループや小さな子供を連れたファミリーをよく見かけました。私が行った東京競馬場や大井競馬場では、無料で馬に乗せてもらえるイベントを開催していたり、いくつかの遊具が置いてあったりと、子供とともに楽しむことができました。このような取り組みが効果を上げている可能性もあります。

 

「若者の〇〇離れ」は、車やアルコールだけではなく、様々なところで聞く言葉になっています。ただ、今回の件から、〇〇離れと言われている中でも、変化しつつある業界があることに気づかされました。世間の言葉に惑わされず、自分の中にあるイメージをもう一度確認してみる必要がありそうです。

 

 

 


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