利益や人気ではなく日銀が株式市場を支配する可能性

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2017/7/18

株式運用第一部

上石 卓矢

 

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

2016年9月21日に日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を導入して以降、日本の10年国債利回りは-0.10% ~+0.12%のレンジで推移しており、これまでのところ日銀は王様のように国債市場を支配することに成功しています。例えば、2016年9月末には国債の買入通知額引き下げによって10年国債利回りの低下を防いだ一方、2017年2月と7月には指値オペによって利回りの上昇を阻止しています。

このように、日銀が国債買入額を増やすようになったため、債券市場では日銀の存在感が大きくなってきています。

 

日本10年国債利回りと日銀の買い入れ通知額

 

さらに、株式市場でも日銀の購入額が増えており、動向が注目されつつあります。2017年6月時点の日銀の株式市場への影響としては、フローベースで約3.2%(日銀のETF購入時の東証一部売買代金に占める割合)、ストックベースで約3.8%(TOPIX時価総額に占める日銀の株式保有割合)と、まだ深刻ではありません。ただし、今後追加の金融緩和を行う場合にはETFの買入ペース増額が有力な選択肢であり、仮に買入ペースが年間10兆円に引き上げられれば、フローベースのインパクトが5%を超え、目に見える形でマーケットに影響が出ると見ています。

 

市場全体より深刻なのが個別株への影響です。日銀のETF購入時に流動性影響の大きい20銘柄の平均トータルリターンは16年6月末~17年6月末の期間でTOPIXを7.0%アウトパフォームしています。利益や人気による銘柄選択だけでは不十分な相場が訪れつつあります。

また、日銀の購入後には浮動株が減るため、現在の政策を続けるだけでも日銀のインパクトが増していくと予想されます。

 

日銀の株式ETF購入一覧

 

日銀のETF購入時に流動性影響の大きい20銘柄

 

 


■当資料は情報提供を目的として大和住銀投信投資顧問が作成したものであり、 特定の投資信託・生命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。 ■当資料は各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を 保証するものではありません。 ■当資料に記載されている今後の見通し・コメントは、資料作成時点におけるレポート作成者の 判断に基づくもので、事前の予告なしに将来変更される場合があります。 ■当資料内の運用実績等に関するグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を 約束するものではありません。 ■当資料内のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。

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