玉投げ、球転がしにチャンスあり!

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2017/7/24

株式運用第一部

永田 芳樹

 

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

最近、近所のゴルフ練習場の客層が変わってきました。私は5年以上週3回ほど通い続けているのですが、ここ半年の間に、特に平日の夜は座席確保のため待たなければならなくなりました。これまで、平日練習に来ていたのはゴルフに情熱をかける昔ながらのゴルフ親父か、学生時代からゴルフを続けているようなアスリートゴルファーが大半でした。ところが最近は、20-30代のグループで来ている人たちが目につきます。パワーがある若手社員の集団、会社帰りの上司と部下、といったパターンが典型で、コミュニケーションの一環という感じを受けます。まだ初心者の女性がいることも多く、みんなで教えながら和気あいあいと練習を楽しんでいます。

例えば日本のゴルフ市場の推移は以下のようになっています。

 

利用税の課税状況からみたゴルフ場数、延利用者数

私の利用しているゴルフ練習場では、1時間800円程度で楽しめますし、1,600円を払えば2時間打ち放題と、飲みに行くより格安です。また私の場合、会社で夜遅くまで残業するよりも、ドライバーで気持ち良い手ごたえを感じながら練習している方が、心に引っかかっていたぼんやりとした投資アイデアがだんだん肉付けされていきます。

最近新聞では訪日外国人が「モノ」消費から「コト」消費に移っていることをよく耳にしますが、小型株リサーチをしていると、日本人も実は「コト」消費に移っているのではないかと感じています。

 

団塊の世代の引退が進んだこともあってゴルフ会員権相場は低迷しており、今後もさらに売りが出ることは容易に想像されます。ただゴルフ場利用者は東日本大震災のあった2011年度をボトムに下げ止まっています。日本ゴルフ場経営者協会の暦年の2016年速報値では、千葉、茨城、栃木、兵庫、岐阜といった地域が大きく伸びている一方、九州や北海道で減少しています。2016年は九州では地震が、また北海道でも夏の台風があり、それぞれ大きな被害を受けたことが減少の大きな原因だと考えられます。

一方、ゴルフ場利用者が増加している地域を見てみると、東京、大阪、名古屋の3大都市圏の周辺の県が多いことがわかります。私も主に千葉県や茨城県のゴルフ場を利用しています。このあたりの特徴は、コースのクオリティが比較的高いにも関わらずプレーフィーが割安のため、新規参入者の御用達エリアです。また最近は気軽に参加できる一人参加型ゴルフ枠を用意するところも増えており、日本のゴルフ参加者の質の変化が起こり始めています。この変化を主導しているのが、20代から40代のカジュアル層だと私は考えています。

 

また同じボールを使う競技で変化しているのがボウリングです。日本のボウリング市場は余暇の多様化を背景に長期的に低迷してきました。特にスマートフォンが大衆化した2010年代に入ると低迷が加速しました。国内市場の四分の一を占めるラウンドワンの既存店売上は、2013年度から2016年度まで毎年10%前後のマイナスで、2010年代に入ると累積約40%の既存店売上減少でした。ボウリングの売上高はほぼすべてが粗利のため普通のサービス業なら潰れていますが、スポーツ系やカラオケなどの新施設を導入して凌いできたのが現実です。

 

ところが市場の大転換の兆候が出てきました。国内のボウリング既存店売上高が2017年1-3月期に久々にプラス転換となりました。さらに4月、5月、6月と連続してプラスとなっています。先日久々に子どもとボウリングに行った時、待ち時間が2時間以上あり、市場に活気が戻っていると感じました。またテレビでは、“両手ボウリング”という新しいボールの投げ方が特集されていました。これはカーブの精度を高められるため、ストライクを取るのに重要な5番目のピンを狙いやすいそうです。プロボウラーの中にも両手投げに転換している人が出始めており、パーフェクトゲームも頻繁に達成できるようになったそうです。また両手ボウリングは重さを両手に分散できるため、よりコントロールしやすいだけでなく、従来より速い玉が投げやすくなります。特に子どもや女性にとっては、従来の投げ方よりもハードルが下がるため、ボウリング市場の反転を助けてくれるかもしれません。

 

ゴルフやボウリングは、スマホ市場の拡大とともに大きく縮小した日本人の「コト」消費の代表格です。その玉投げと球転がしが、SNSゲーム、スマホの普及台数の成熟化と時を同じくして底打ちし始めたのは、実は偶然ではないかもしれません。これまで株式市場で「コト」消費の増加が注目されましたが、主に老人が健康のためにアミューズメント施設や映画に行くなどといった、年配層の余暇増加がテーマでした。ところが今回のブームの気配は、コア消費者である若年層です。この層は働き方改革やアベノミクスの影響で昔より余暇が大幅に増加し、所得がもっとも拡大している世代です。若年層が消費に戻ってくるなら、日本人の「コト」消費は息の長い復活劇となるかもしれません。

 


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