電気自動車が買いたくなる理由

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2017/9/11

 

株式運用第一部

永田 芳樹

 

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします

 

先日、テスラの試乗会に行ってきました。場所は青山通り沿い、伊藤忠商事の反対にあるテスラのディーラーです。店舗のコンセプトはシンプルで無駄のない空間デザインです。従来の日本車ディーラーが家電量販店だとすると、テスラのディーラーはアップルストアのイメージですが、高級すぎる感じでもなくカジュアルさも内包します。

 

店の真ん中に置いてあるのが、テスラのシャーシ(ボディを除くすべての基本構成)です。電気自動車なので当然エンジンはなく、凸凹はサスペンションなどタイヤとボディの接合部分だけで、残りは真っ平な印象です。その平らな部分の下には膨大なリチウムイオン電池が隠れています。これと比べると、エンジンを持つ車はいかに複雑で部品点数が多いのかがわかります。もし電気自動車が想定以上に普及すると、その膨大な部品を精密につくる自動車部品メーカーは、かなり厳しいことになることが容易に想像されます。

 

担当の女性の方に案内されて試乗です。今回の試乗車はテスラModel Sです。外観は幅広、低車高、セダンの量産車で最大級の21インチの大きなホイールと、かっこいい車の基本を押さえています。またエンジン車のように冷却をしなくていいためか、全面に大きな空気を取り入れる穴もなく、空力的にもデザイン的にも自由度が高く、デザインはガソリン車以上です。ただ196センチの車幅は日本には広すぎるため、購入層はかなり限定されそうです。

 

助手席に乗ってみるとまず目を引くのが、17インチのディスプレイです。これをタッチパネルで操作できます。ソフトもグーグルマップなどを搭載しており、大きなタブレットそのものです。今回の試乗車は2000万円近くの最上級仕様だったのですが、内装は東レの人工皮革のアルカンターラが全面に使用されていました。これはスポーツカーやアフターパーツではかなりメジャーな作りです。ただスイッチやその周りは高級車には似つかわしくないプラスチック感が漂っており、この辺はまだまだ欧州の高級車メーカーに当面追いつけそうにありません。

 

強みはスマートフォンのように常に通信回線とつながっており、音声コントロールや全方位のセンシングなどと合わせると先進的です。ただ大半の機能は、最新の高級車にはレベルの差こそあれ既に装着されているもので、発売された2012年時点では未来的だったかもしれませんが、現在では正直当時ほどの感動はありませんでした。

 

次に実際の運転です。車はまず担当の方が運転します。いきなり時速50kmまでアクセルをべタ踏みしてスタートです。時速100kmに達するまでわずか2.7秒の加速はさすがです。同じ価格帯でガソリン車のスポーツカーなら4秒ほどかかります。今回は助手席でしたが、脳が動く感じの加速感はトルク特性がリニアな電気自動車独特で、変な感覚でした。助手席だったこともありますがエンジン音がないため加速への予測に、脳がついていっていない気がしました。

 

次に自分でハンドルを握ると、思いのほか違和感がなく加速します。運転席で見ると常に車の周りの状況が表示されており、これに基いて自動運転が可能になっていくのがわかります。現在のエンジン車も多くのセンサーがついており同様に周りを把握していますが、この辺の見せ方は既存の自動車メーカーと思想が違うため、スマホ世代にはこちらの方がすぐ馴染めそうです。

 

実際試乗して感じたのは、テスラも普通の電気自動車だということです。担当の方のセールストークは、「加速が時速100Km、2.7秒ですごい」「電池が床面に敷き詰められているため重心が低くコーナーも安定している」「充電は日産ディーラーでもできるのでマンションでも大丈夫です」などでした。加速がすごいのは、モーターの特性で低速から高いトルクになるからです。電池は重く大量に必要なためで、車重が2.1トン越えと欠点を有効活用しているだけです。これらの特性はテスラが独占している特徴ではなく、電気自動車そのものが持つ特性です。資本力のある自動車メーカーなら、本気になれば1年でテスラに追いつけそうな気がします。

 

ところで、先週2代目の日産リーフが発表されました。2010年に発売された1代目リーフを私は全く買いたいと思いませんでした。ところがこの2代目は買ってもいいかなと思ってしまいました。その理由を考えると、まず航続距離です。私の乗っている燃費の悪めのガソリン車とほぼ同じです。さらに車両価格も手厚い補助金を考えると、車格に見合った値段になります。心配なのは電池の交換とリセールバリューですが、これは人気が出れば解消されるでしょうから気にしなくてもいいかもしれません。

 

この思考の過程を考えると、電気自動車はすでに新しもの好きのイノベーターが買う段階を突破し、実利を追うアーリーアダプターが吟味して買う段階にきているのかもしれません。こう考えると今回のEV関連銘柄は理想買いから現実買いに移る段階にきている可能性があり、今後市場で考えているよりも早く電気自動車の普及台数が増えることを前提とした銘柄選択が必要かもしれません。

 


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