企業理念による「上がる株・下がる株」の見分け方

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2017/9/25

株式運用第一部

上石 卓矢

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

先日滞在したバリ島のホテルが素晴らしく、私が3階の廊下を歩くときも、1階にいる全ての庭師が笑顔で挨拶するほどでした。どうやってハイレベルなサービスを提供しているのかを考えていた所、"Our guests want to return"というホテルのビジョンを見つけ、「これだ!」と思いました。顧客にリピートしてもらうには特別なサービスを提供する必要があるからです。また、リピーターが増えればホテルの経営も安定し、その利益をイベントや従業員にまわせます。優れたビジョンが良いホテルをつくると実感した出来事でした。

 

ホテルに限らず、企業経営においてもビジョンや企業理念の重要性が指摘されています。しかし、企業理念と株価の関係性を調べたレポートは、まだ見たことがありません。そこで、今回は日経平均採用銘柄225社の企業理念と株価の関係性について調べてみました。

 

日経平均採用銘柄の企業理念ごとのトータルリターン 

.どの項目が最重要かわかりづらい企業理念は、日経平均を25%アンダーパフォーム

企業理念には、ミッション、ビジョン、社是、など様々な項目があります。今回は、ピラミッドの最上位に位置する、企業が最重要視する項目を企業理念と定義して集計しましたが、ごく一部の企業では、ミッション・ビジョン・経営理念などをただ羅列するだけで、どの項目が一番大事なのか分かりにくく、企業理念を特定することができないものもありました。こうした企業は、過去5年間のトータルリターンで日経平均を25%アンダーパフォームしていました。わかりづらい企業理念の下では、「目標を掲げる・先頭を走る・決める・伝える」というリーダーの役割が難しくなり、株価や業績がついていきにくい可能性があります。

 

2.主語が「私たち」の会社はOK、日経平均を52%アウトパフォーム

企業理念の主語は、「私たち」「社名」「XXグループ」という3パターンが代表的ですが、「私たち」という単語を企業理念に含む企業の株価パフォーマンスは顕著に良かったです。これは、「私たち」から始まる文章のほうが、「XXグループ」から始まる文章よりも、ひとりひとりの社員に浸透しやすいからだと推察されます。実際、凸版印刷は、企業理念に「私たち」という単語を用いた理由として、『企業理念は、当社に働く「私たち」一人ひとりに共通する価値観であるという姿勢を示しています』と説明しています。また、マツダの『私たちはクルマをこよなく愛しています』からはじまる企業理念のように、「私たち」を含む企業理念にはグッとくるものが少なくありません。

 

3経営者の思いが窺われる企業理念は日経平均を40~71%アウトパフォーム

経営者の思いが窺われる会社の株価も堅調なパフォーマンスとなる傾向にありました。例えば、ダイキンの企業理念は4000文字以上と長文であり、企業理念の策定ひとつとっても、経営者のエネルギーが伝わってきます。

 

4に訴えかけやすい企業理念は日経平均を34%アウトパフォーム

これは主観的になってしまいますが、読んでいて少しでも心を動かされるような企業理念を持つ企業は、株価も良好でした。日経平均採用企業の中で私が好きなのは、ソフトバンクの『情報革命で人々を幸せに』、花王の『よきものづくり』、ヤマハ発動機の『感動創造企業』などです。また、塩野義製薬の企業理念も素晴らしく、1957年策定当時から文面は変わっていませんが、意味は現代でも通じ、企業理念のお手本とでも言うべき文章です。ぜひ皆さんも企業理念に注目して投資先を探してみてはいかがでしょうか。

  


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