人口が減少する日本になぜ投資をするのか?

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2017/11/6

株式運用第一部

上石 卓矢

 

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

先週は北欧に行ってきました。コペンハーゲンは建築から料理まで洗練された都市である一方、ヘルシンキは自然と調和した静謐な街並みであり、同じ北欧でも雰囲気が大きく異なりました。北欧といえば人気のインテリアデザインや手厚い社会保障などステレオタイプなイメージしか持っていなかったため、現地に行かなければ現地のことは語れないと改めて実感しました。

 

その現地で聞いてきた話なのですが、足元で海外投資家から引き合いが多い投資商品は、日本を除くアジア株式、アジア新興国株式、アジア株式ロングショート、の3つだそうです。日本株式の買いのニーズはほぼゼロという意味であり、衝撃的でした。日本よりもアジア新興国を好むのは、おそらく成長期待の差であり、人口動態の差に起因するのだと思います。そうだとすれば、外国人に日本株式への投資を呼び込むには「人口が減少する日本になぜ投資をするのか?」という疑問に答える必要があります。

 

日本に投資をする理由は、市場の安定性、脱工業化による成長、この2点だと私は考えています。アジア新興国に比べて、日本は政治経済が安定しています。また、株式や為替の市場に世界有数の流動性があるため、売り買いを適切な値段で行えます。これは市場の小さい国では難しいことで、そうした国では資産価格の急落や流動性の急激な落ち込みというリスクを常に抱えることになります。

 

脱工業化による成長も日本株式の魅力です。次ページの世界の産業高度化の推移をみると、工業の発展→景気低迷→改革→脱工業化による発展、というひとつの流れを発見できるかと思います。英米は戦勝国で第二次世界大戦の被害が比較的小さく、戦後は真っ先に工業が発展しました。当時は最も優れた家電や自動車と言えば英米製でした。しかし、その後は日本やドイツでより安く高品質な工業製品を作れるようになり、英米の景気は低迷します。その後の英米ではサッチャー元英国首相やレーガン元米大統領といった政治家の改革により、資本や人材が再び流入し、ITや金融などの非製造業主導で経済が発展しました。その反動か、イギリスのBrexit 、アメリカのトランプ政権誕生など、最近の英米では保護主義の動きが目立ちますが、日本は失われた20年を経て、脱工業化による発展間近という印象です。

 

アベノミクスでは、コーポレートガバナンス改革によって資本を、ビザ規制の緩和によって人材を、受け入れる土台ができてきました。また、日本株式は昔から時価総額上位の顔ぶれが変わらずつまらないと言われてきましたが、エムスリー、スタートトゥデイ、といった新世代の起業家によるITを駆使した企業が、時価総額1兆円規模にまで育ってきています。人口が減少しているから今後日本は成長しないという意見を耳にしますが、経済成長にとっては人口よりも生産性の変化のほうが重要であり、英米が経験した脱工業化による生産性向上に注目しています。

 

国別の産業高度化推移と予測

 


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