自分だけの1着に向けて

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2017/12/11

株式運用第一部

部奈 和洋

 

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

ファッション通販サイトのZOZOTOWNが、自身の体の採寸を行うことができるボディスーツの配布を始めたと話題になっています。このスーツは体の1.5万箇所を瞬時に計測してくれるようです。米アマゾンが人体の3次元モデリング技術を開発した企業を買収したというニュースも先日流れていました。こういった技術は、試着の必要性をなくし、オンライン上での買い物をより便利にさせるだけでなく、より自分にフィットした自分だけの製品を可能にするものだと思われます。 

 

このような動きに合わせて工場も変化の時を迎えています。例えば昨年、独アディダスが24年ぶりにドイツ国内でのスニーカーの生産を再開しました。生産を人件費の安い国へ次々と移して成長してきた業界にとって、この決断は驚きだったと思われます。この工場では3次元モデル技術とロボットを活用することにより、企画から販売までの時間を大幅に短縮した上に、将来的には個々人の足に合った靴の製造・販売まで可能にするでしょう。いくつかの日本企業はこのようなマスカスタマイゼーションの流れをビジネスチャンスと捉えて動き始めています。

 

ニット機の最大手企業は、無縫製で糸から製品を作ることができる機械を製造しています。今ではアパレルだけでなく、靴やアクセサリーにも応用できるようになっています。前述したアディダスが採用したのは同社の競合企業のものですが、ナイキは同社の機械を用いた製品を発売するなど、同社も負けていません。世界初のユニークな製品を生み出しており、デジタル化でも先行してきました。私は以前に同社の本社を訪問したことがありますが、エントランスにフェラーリが飾られていて面喰ったことを覚えています。このフェラーリはイタリアの取引先から贈られたもので、現会長の考えで、社員の美的センスを養うために置いていると伺い、再度驚いた記憶があります。同社は足元で生産管理システムのクラウド化も進めてアパレル生産のデジタル化を推進しており、全自動生産にも取り組んでいるようです。

 

上で挙げた企業と同様の変化を工業用ミシンの大手にも期待しています。これまで自動化が進んでこなかったミシン業界においても、人件費高騰や政府補助金などを背景に、自動化、デジタル化が中国を中心に動き始めたようです。2013年にバングラデシュで起こった縫製工場ビルの倒壊なども契機となっていると思われます。まだ現状では従来型の機械の出荷が9割程度を占めているようですが、同社は、スマートファクトリーを提唱し、提案を積極化させているそうです。これまで熟練の技術を持つ人が手動で1台1台ミシンを調整していたようですが、同社の提案するデジタルミシンを導入すれば、衣料を1着縫うごとに条件をタブレットで簡単に変更できるため生産性を高め、個別の衣料を作ることも可能になるそうです。

 

個別化の動きは、衣料品のほかにも、医療、食品、学習支援など様々なところで進展しています。そのサービスや商品を提供する企業だけでなく、それを支える企業も中長期での成長が期待できると考えているため、注目していきます。

 


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