お、ねだん以上のその先に

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2018/1/9

株式運用第一部

永田 芳樹

 

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

ここ数年で、東京でも「お、ねだん以上。ニトリ」というCMをよく聞くようになってきました。日本の家具市場を席捲している家具とホームファッションのニトリのキャッチフレーズです。個人的にこの銘柄にはかなり思い入れがあります。2002年、私がファンドマネージャーになったばかりでまだ右も左もわからないときに、グロース株のコア銘柄として組み入れた銘柄が、このニトリと当時最強だった永久磁石のNEOMAXを開発した住友特殊金属だったからです。

 

ニトリは当時、北海道の札幌証券取引所単独上場の地方銘柄でした。ただ当時からちょっとしゃれた家具や雑貨が、信じられないような安価で販売されていました。ちょうど私が結婚したころで、神奈川の港北ニュータウンにあった大規模店によく行きました。ニトリはここ数年で都内の一等地に大規模店をどんどんオープンしていますが、15年前は車がなくては行けないような東京の周辺県のさらに郊外に路面店出店を行い、販管費も商品も徹底的なコストダウンを行う素晴らしい企業でした。

私は車に乗り郊外に住んでいるため、ニトリがどんな商品を売る企業かよくわかっていますが、都内に住む運用担当者が本当にニトリを知ったのはつい最近のことです。というのは最近の20代、30代は都心エリアに住む代わりに車を持っていません。そのため4-5年前までニトリに行くことができなかったのです。

 

この15年のニトリ歴の中で、これまでかなりのニトリの家具を買ってきました。最近だと子どもの勉強机です。これはコストパフォーマンスが最高で、デザインにこだわらなければニトリにしか作れない商品です。ただ二人目の子どもの勉強机を買ったとき、わずかにデザインが違うものが1万円以上値上がりしており、しっかり型番を変えながら値上げをしているのを感じていました。

また4-5年前ソファーを買ったことがあります。見た目は値段に対して非常に割安でしたが、どうしても経年劣化が目立つようになり、昨年買い替えることになりました。結局見た目と価格は最高なのですが、個人的には「品質はお値段なみ」かもと感じました。

 

一方、ニトリと同様にここ数年で大きく成長した日本企業があります。無印良品を運営する良品計画です。こちらもニトリと同じように着実に店舗網を広げてきましたが、両社には大きな違いがあります。ニトリは郊外から都心に、地方から首都圏に店舗を広げているのですが、良品計画は都心から地方に店舗を広げていることです。

 

両社ともそれぞれの市場でシェアを拡大し国内で成長してきた企業ですが、私はその成長ドライバが根本的に異なると考えています。ニトリはデザインに対し圧倒的に安い商品でマス層をつかみ伸びた会社、一方良品計画は世界でもっとも品質にうるさい日本の都市部の厳しい消費者に鍛えられ、品質で伸びた会社だということです。

 

この違いは企業の成長にどう影響してくるでしょうか?良品計画の場合は、もともと日本人全員をターゲットにしているわけでなく、商圏人口を考え着実に出店していきます。一方ニトリは価格競争力でシェアを上げてきた側面が強く、日本人全員に受け入れられることを前提に商品をつくり、出店をしています。確かに都内のターミナル駅への出店時は物珍しさと、驚愕の値段で車を使わない層にも大きく受け入れられると思います。ただブーム的な来店が過ぎた時、また実際しばらく商品を使った後、購入時には気付かなかった問題点が出てくるかもしれません。

 

12月に発表した決算は都市部での収益性に少し懸念を感じさせた、初めての決算かもしれません。ニトリの株価は中国成長期待も大きく今後の動きはこのミックスになると思いますが、国内ビジネスを「大衆向け」と考えるかどうかでバリュエーションは変わってくると感じています。

 

 


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