補完財に投資せよ!

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2018/2/13

株式運用第一部

上石 卓矢

 

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

ナムコ・ワンダーエッグ、長崎オランダ村ハウステンボス、トイザらス。いずれも1992年に日経ヒット商品番付を受賞するなど一世を風靡しましたが、その後はすべて閉園か経営破綻に陥りました。一方、ユニクロやスターバックスは2000年に日経ヒット商品番付を受賞していますが、どちらも受賞後に大きく成長しています。

このように明暗は分かれていますが、毎年生まれるさまざまなヒット商品が私たちの生活や株式市場をわくわくさせてきました。歴史をさかのぼれば、英国で運河や鉄道株への熱狂があり、それに続いて米国で自動車・ラジオ・航空機といった工業株ブームが起き、その後はジェネンテックやネットスケープのIPOによってバイオやITへの関心が高まりました。これからも起業家の情熱と創意工夫によって、新しい成長市場が誕生することでしょう。その際、どういう企業に投資をすれば、われわれはその恩恵を享受できるのでしょうか?

日経ヒット商品番付の推移

成長市場を見つけた場合、「補完財に投資せよ!」というのが私の考えです。補完財(complements)とは、片方の財の価格が下落すると、もう片方の財の需要が増加する関係にある2つの財のことです。たとえば、自動車の価格が下がると、自動車がより多く売れるため、ガソリンの需要は増加します。そのため、自動車とガソリンは補完財であるといえます。補完財は一緒に使われる財のペアであることが多く、白菜と鍋の素、スキー場リフト券とスキー用品、シンセサイザーとスピーカー、なども補完財です。

 

成長市場は大半がレッドオーシャンです。みんなが参入する結果、数量は伸びるものの、価格が下がりがちになります。競争を勝ち抜くための投資が必要ですが、勝者はひと握りです。パソコンが急速に成長したとき、ハードウェアであるパソコン本体を手掛けるメーカーが乱立した結果、過当競争によって価格はどんどん下がり、メーカーの利益率も悪化しました。一方、パソコンの価格低下と普及によって、パソコンと補完財の関係にあるソフトウェアの需要は急拡大しました。株価の面でも、パソコン本体の製造メーカーよりも、ソフトウェアのマイクロソフトなどの方が大きく上昇しました。

 

補完財投資の魅力は、成長市場への参入者がみんなで頑張って競争をしてくれることで、補完財の需要が自動的に伸び、数量増・価格増を享受しやすい点です。たとえば、ここ数年は動画配信サービスが成長しましたが、いろいろな企業が参入した結果、競争激化で赤字の企業も少なくありません。一方、動画配信サービスと補完財の関係にある動画コンテンツを保有する企業の業績は絶好調です。また、動画配信コストの低下によって、無名だったりニッチなジャンルのアーティストでも楽曲を世界中に配信できるようになった他、有名アーティストもミュージックビデオなどのプロモーションの機会が増し、補完財であるライブ市場も拡大しています。

 

みなさんも成長市場を見つけた際には、競争の激しいど真ん中の企業ではなく、補完財を手掛ける企業への投資を考えてみてはいかがでしょうか。

 

 


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