2016年はここに注目!-アウトバウンド銘柄に注目!?

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2015/12/11

経済調査部 部長 門司総一郎

 

今回から3回にわたって、2016年に予想される日本、あるいはその他の株式市場のテーマについて考えてみます。初回は日本企業、特に食品や薬品などいわゆる「内需系」企業の海外進出です。

 

このテーマは327日付当コラム「日本人は自信を取り戻したか?-意識改革を示すM&A」や108日付「TPPのここに注目!-サービス業の海外展開に追い風」などで取り上げました。にもかかわらず、改めて取り上げるのはそれだけ来年のテーマとして注目しているからです。

 

3月27日付の当コラムでは日本企業が海外進出を加速させていることを示すデータとして、日本企業による外国企業の買収金額を紹介しました。当時は325日までで248億ドルでしたが、その後も増加を続けて11月末時点では1045億ドル、過去最高である2012年の1159億ドルに迫る勢いです。

 

 

日本企業による外国企業の買収金額 2014年日本企業による海外企業買収金額上位5件

 

昨年と今年それぞれのM&A金額上位5件を見ると、食品、保険、薬品、サービスと、三菱商事を除けば、全て内需系に分類される業種です。

 

このように内需系企業が海外進出を加速させている訳ですが、この背景には人口減により国内市場の縮小が予想されること、生き残るためには海外に活路を求めざるを得ないこと、そして企業が時間や人材、ノウハウを買う手段としてM&Aを活用していることなどがあります。

 

この内需系企業の海外進出は成長戦略の後押しもあって、来年更に加速すると予想しています。例えば、環太平洋圏経済連携協定(TPP)ですが、前述の108日付当コラムで述べたように、TPPは相手国の外資規制緩和や公共工事入札の門戸開放などにより日本の内需系企業の海外進出を手助けするものです。発効にはまだ時間がかかりますが、それを待たずに企業はTPP加盟国への進出の準備を進めるでしょう。 

 

2015年日本企業による海外企業買収金額上位 大型買収企業の株価騰落率

 

インフラ輸出もそうです。1212日の日印首脳会談で、インドの高速鉄道プロジェクトにおける日本の新幹線規格の採用が決定される見込みですが、総事業費1.8兆円といわれるこの事業には川崎重工や日立と並んで、JR東日本なども参加します。またバングラデシュでは大林組、清水建設などが総事業費900億円の橋梁事業を受注しましたが、政府は約300億円の円借款を供与することにより、日本勢の受注を援護しました。こうした政府の後押しも海外進出を目指す内需系企業にとっての追い風です。

 

注目すべきはこうした企業の株価の動きです。2014年、15年の大型M&Aに関与した企業のうち、昨年末時点で未上場のミツカン、日本郵政、明治安田生命及び内需系でない三菱商事を除いた6社の株価(サントリーHDについてはサントリー食品インターナショナルの、三井住友海上についてはMS&ADインシュアランスの株価を使用)は昨年末から1220日にかけて全て上昇、しかもTOPIXを上回る上昇です。

 

今年内需系企業の海外進出が市場で話題になることはほとんどなかったのですが、それでも株価の動きを見ると、このテーマに注目している投資家の存在が窺われます。来年はこの動きが加速することにより、大々的に市場の注目を集める可能性があると考えています。2015年は「インバウンド銘柄」でしたが、16年は「アウトバウンド銘柄(!?)」の年になると予想しています。

 


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