2016年、波乱は続く-為替は円安へ

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2016/2/26

経済調査部

部長 門司 総一郎

 年初から続いた市場の波乱もようやく落ち着きを見せ始めました。「市場のここに注目!」でこのテーマを取上げるのもこれが最後と考えています。今回はリスク・オンへの転換が遅れているドル円について考えてみます。

 

 ドル円について検討する前に、市場が落ち着きを取り戻し始めた理由について考えてみます。きっかけは212日のドイツ銀行による社債買戻しの発表でした。その他に、産油国の間で原油価格維持のための協調に向けた動きが始まったことや小売売上・鉱工業生産など米国で予想を上回る経済指標が相次いだことなどが、市場がリスク・オフからリスク・オンに転じた理由です。

 

 一方、変化が見えないのがドル円です。円高にはブレーキがかかったものの、1ドル=112円を挟んだ動きを続けており、トレンド転換は見えません。

ドル円とTOPIX 米通貨先物取引ネット円買いポジション

 しかし、ドル円に関するデータを見ると、円安を示唆するものが目立ちます。例えば直近の米通貨先物取引のネット円買いポジション(買い建て枚数と売り建て枚数の差、ヘッジファンドの動きを示すといわれる)4.8万枚の円買い越し、20122月以来の円買い水準です。

 

 これは円強気派が多いことを示していますが、既に円を買っている向きが多いため追加的な円買い余力は小さく、逆に買いポジションを閉じることになれば多数の円売りが発生することになります。ゆえに、このデータは今後の円安を示唆するものといえます。

 

 次に外国為替証拠金取引(以下、証拠金取引)で取引する日本の「ミセス・ワタナベ」について考えてみます。証拠金取引のネット円売り残高は12月末の3.7兆円から1月末の2.0兆円に急減しました。2月に入って円高が加速しているので、損失拡大回避のための円買戻しにより現在の円売り残高は更に縮小していると思われます。いったん売っていた円を買い戻したため「ミセス・ワタナベ」の更なる円買い余力は小さく、逆に円売り余力は大きいと思われます。これも今後の円安を示唆するデータです。

外為証拠金取引のネット円買いポジション 日米2年債利回り較差とドル円

 日米金利差も円安を示唆しています。足元日米の2年債利回り較差は拡大方向にありますが、これは予想を上回る経済指標を受けて米債券利回りが上昇する一方、マイナス金利の開始により日本の債券利回りは若干ながらも低下したためです。金利差の拡大も円安要因です。

 

 以上のように、データでは円安を示すものが多く、また市場全体としてリスク・オフからリスク・オンに転じつつあることも円安要因です。こうした状況を踏まえて、ドル円も近いうちに円安に転じると予想しています。

 

 冒頭述べたように、当コラムで市場の波乱について検討するのは今回が最後と考えています(もちろんリスクはありますが)。次回からは最近の成長戦略の進展を取り上げる予定です。

  


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