株式需給のここに注目-外国人売り一巡から上昇へ

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2016/4/25

経済調査部

部長 門司 総一郎

 

4月第2週、第3週と日本株は急速に値を戻しましたが、その理由の1つに外国人売りの一巡による株式需給の好転があります。今回の「市場のここに注目!」は外国人売りについて考えます。

 

東京証券取引所や大阪取引所の統計によれば、今年に入って3月まで外国人は現物・先物合わせて5.5兆円の日本株を売り越しました。これが需給面における年初からの日本株下落要因です。ただし現物と先物の間で売りのタイミングに若干の違いがあります。現物では1月から3月まで毎月1兆円を超える日本株を売り越しました。一方、先物では1月こそ売り越したものの2月は7218億円の買い越し、3月も小幅の売り越しに止まっています。

外国人買い越し額

外国人の現物取引は年金やソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)など長期的な投資家の動き、先物はヘッジファンドなど短期筋の動きを反映する傾向があります。この前提に立てば2月以降日本株を押し下げたのは長期的な投資家の売りで、同じ外国人でもヘッジファンドなどは2月以降既に買い戻しに転じていたと思われます。

 

一方、長期投資の外国人による日本株売りについても、既に一巡した可能性を示すデータがあります。米証券会社BofAメリルリンチが毎月10日前後に世界の機関投資家に実施しているアンケート調査(「ファンドマネージャー調査」)です。

 

ファンドマネージャー調査には、投資家がそのグローバル株式ポートフォリオの中で、日本株・米国株・ユーロ圏株などについての現在のスタンスが「オーバーウェイト」か「アンダーウェイト」かを問う設問があります。4月は日本株オーバーウェイトとの回答が全体の26%、アンダーウェイトが30%。両者の差をとった「ネットバランス」はマイナス4%でした。昨年12月時点のネットバランスはプラス37%だったので、そこからわずか4ヵ月で、多くのグローバル投資家が日本株の比率を落としたことになります。

グローバル投資家の日本株へのスタンス

ネットバランスのマイナスは第二次安倍晋三内閣が発足した201212月以来のことですが、ここまで一気に比率を落とし、グローバル投資家全体として日本株アンダーウェイトが多数となった点を考えると、長期投資家も含めて日本株売りは一巡したと見てよいでしょう。実際、4月に入ってから外国人は買いに転じています。第2週まで現物で4176億円、先物で270億円の買い越しです。

 

現在の日本の株式市場で主な買い手になっているのは日銀(ETF購入)や上場企業(自社株買い)ですが、これらによって買い上げられた株式は市場に出てきません。そのため外国人が買いに回ると売り手不在になりやすい状況です。最近の日本株の急上昇にはこうした需給の改善が大きく寄与していると見ています。

 

株価が一段と上昇すれば個人の利益確定売りや年金のリバランス売りが出てくることになりますが、それまでは売り手不在の状況が続きそうです。需給面からはまだまだ日本株の上昇が期待できると考えています。

 

以上

 


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