通貨と株式市場-「通貨安=株高」は本当か?(その2)

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2016/5/20

経済調査部

部長 門司 総一郎

 

「『通貨安=株高』は本当か?」の第2回です。前回は世界的には通貨高の時に株高となる国が多いとして、韓国・豪州・ブラジルを紹介しました。今回は日本同様に通貨安の時に株高となる国について見てみます。

日本同様に通貨と株価が逆相関の関係にあるのがスイスです。ただし2011年以降、スイス中央銀行の為替管理によりスイスフランが小幅の動きに止まっているため、逆相関は以前に比べると弱まっています。

スイスフランの対ユーロレートとSMI

それ程強くありませんが、米国でも両者の関係は逆相関です。ただし、2005年から11年にかけては比較的きれいな逆相関の関係が見られたのですが、それ以降関係は徐々に薄まりました。2014年以降に限れば、ドル高と株高が同時に進行する順相関となっています。

ドル指数とS&P500

ユーロ圏では弱いながらも順相関の関係が観察されます。しかし、2014年以降に限るとユーロが下落する中で株式は上昇しており、日本同様の逆相関の関係に近づきつつあるように見えます。

ユーロの対ドルレートとユーロSTOXX

中国では通貨と株価の動きの間に相関はほとんどありません。これは人民元レートが政府(中央銀行)の管理下で小幅にしか動かない一方、個人が主要投資主体となっている株式市場はしばしば乱高下するためです。しかし、政府が従来よりも人民元レートの変動を容認するようになった結果、足元では順相関の関係が観察されることが増えてきました。

人民元の対ドルレートと上海総合

主要国の中で、通貨安=株高の関係になっているのは日本、スイス、米国のみで通貨高=株高が圧倒的多数です。次回はなぜ通貨高=株高の国が多いのか、なぜ日本、スイス、米国は例外なのかなどについて考えてみます。

理由は「日本は輸出企業が多いため、為替レートの変動が企業業績に与える影響が大きい」ということではありません。キーワードは「リスク選好」と「金利」です。

以上

 

 


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