株式市場見通し(16年9月1日)

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2016/9/1

経済調査部

部長 門司 総一郎

 

日経平均は先週まで一進一退でしたが、今週に入って騰勢を強め、足元は17000円目前となっています。他市場が横ばいで推移しているにもかかわらず日本株が強い理由の1つに、これまで市場参加者に無視されてきた経済指標などファンダメンタルズの改善がここに来て評価されていることがあると見ていますが、今回はそうした経済指標を紹介しながら、日本株の先行きについて考えてみます。

 

表は月次で発表される主な日本の経済指標の中で、経済活動の状況を示すものから14の指標を選び、直近の実績をエコノミスト平均の予想や前月の実績と比較したものです。

 

予想との比較では、上回った(失業率は下回った)ものが8、下回ったものが3。前月との比較では改善したものが10、悪化したものが4です。いずれもよい指標の方が多数であることから、足元の日本経済は着実に回復しつつあると考えられます。

8月に発表された主な日本の月次経済指標

中でも注目されるのは消費関連の指標の改善です。消費者心理を示す消費者態度指数は予想を下回って前月から低下しましたが、雇用・所得関係(失業率、毎月勤労統計)、需要側統計(全世帯家計調査)、供給側統計(小売業販売額)などその他の消費関連の指標は幅広く改善しています。

 

日本の個人消費については弱いとの見方が根強くありますが、消費関連の経済指標全体としてはむしろ改善していることから、弱いとは考えていません。エコノミストの間でも「個人消費は緩やかな増加基調を維持」(大和、岡本氏、830)、「民間消費も7月は安定を増した」(野村、棚橋氏、830)など、最近は明るいコメントが目立ちます。

 

製造業関連の指標はまちまちです。8月日経PMI(製造業)3ヵ月連続改善、また6月の機械受注も予想を上回る改善となりましたが、7月輸出は予想を上回る前年比マイナス、鉱工業生産も予想を下回り前月比横ばいです。

 

ただし、鉱工業生産については出荷が前月比0.9%増加する一方で在庫は2.4%減少しています。したがって7月に生産が足踏みしたのは在庫調整のためであり、最終需要は悪くないと考えられます。エコノミストのコメントにも「(生産の)見通しは明るく、底入れ感が出ている」(SMBC日興、牧野氏、831)、「生産と出荷は2014年から緩慢な低下基調にあったが、ようやく下げ止まりに転じた」(ドイツ、松岡氏、831)など前向きなものが、多く見受けられました。

 

このように最近の経済指標の中では、景気が回復しつつあることを示すものが多数ですが、株式市場はそうした経済指標に反応しませんでした。これは市場関係者の関心が為替レートとそれに関連する政策面での動きに集中する余り、景気や業績などの材料が無視されたためと考えています。

 

しかし、日本の景気は決して悪くなく、また4-6月の決算も減益ではあったものの、アナリストの見通しを上回るものでした。足元の日本株上昇はこうしたファンダメンタルズの改善が遅れて市場関係者に評価され始めたことによると考えています。

 

ファンダメンタルズが改善しているのは日本だけではありません。米国でも経済指標の改善は続いており、9月の追加利上げも視野に入ってきました。また最近は新興国についても、景気は底入れしたとの見方が広まりつつあります。

 

世界的に景気が改善しているのであれば、日本だけ景気が腰折れするリスクは小さく、今後も持続的な回復が期待できるでしょう。その場合は日本の株式市場もここまでのボックス圏を抜け出し、来年にかけて持続的に上昇すると予想しています。

 

以上

 


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