企業業績のここに注目!-企業業績は底入れ

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2016/10/19

経済調査部

部長 門司 総一郎

 

 

4-9月期の決算発表が近づいてきました。今年度の為替前提を105円程度に設定している企業が多く、その修正が予想されるため、企業の業績見通しは下方修正との見方が多いようですが、自分は逆に今回の決算発表で、業績の底入れムードが高まると見ています。今回は企業業績について考えます。

 

 

証券会社のアナリストの業績見通しに基づく2016年度の日本の予想増益率は(EPSMSCI日本株ベース)8月の9.2%から9月の10.3%に上方修正されました。今年に入って2月、5月など上方修正された月はありますが、これらはいずれも前年の業績見通しが下方修正された影響が大きかったと思われます (前年のEPSを下方修正、翌年を据え置けば業績の伸び率は上方修正されます)。実質的な上方修正は今回が初めてといってよいでしょう。

予想増益率の推移

 

リビジョン・インデックス(アナリストが業績見通しを上方修正した企業数から下方修正した企業数を差し引いたもの)の推移を見ると、7月には▲258社まで低下しましたが、9月は▲60社に持ち直しました。リビジョン・インデックスはマイナスなので、下方修正が多いことに変わりはありません。しかし、上方修正が増え下方修正が減り始めたことは、業績が持ち直し始めた可能性を示していると考えられます。

 

日本経済新聞の報道にも、業績の持ち直しを示すものが目立ちます。1015日の同紙によれば、三菱ケミカルホールディングスやDOWAホールディングスの4-9月期利益は前年同期比2ケタ減益ながらも会社予想対比で上振れが見込めるとのことでした。これは会社予想に比べての上振れですが、アナリスト予想との比較でも同じと思われます。

 

三菱ケミカルの業績上振れの理由には石油化学製品の市況が想定より堅調だったこと、またDOWAの場合は亜鉛市況が好調だったことが挙げられています。いずれもその企業固有の要因というよりは他企業にも共通する要因です。世界経済が思ったよりよかったと言い替えることもできるでしょう。

 

年初の段階では内外経済に様々なリスクが指摘されていました。新興国の通貨や経済、原油安、円高などです。加えて6月の英国の欧州連合(EU)離脱も世界経済への不安を掻き立てました。こうした中、企業やアナリストの業績見通しは下振れリスクにバイアスがかかった、極めて慎重なものになったと思います。

 

7月から8月にかけて発表された4-6月の決算においてはアナリスト予想を上回る企業の方が多数でした。にもかかわらず予想増益率の下方修正が続いたのは、当時為替レートが1ドル=100円に達しており、「円高はまだまだ続き、業績は悪くなる」と多くのアナリストが考えたためでしょう。しかし、実際の展開は全く違ったものでした。

 

新興国の景気や通貨は持ち直し、原油価格は大幅反発しました。円高は1ドル=100円を前に足踏みしており、ポンド安を受けて大陸からの買い物客が増加したことにより英景気はむしろ好調です。このように前提条件が下振れでなく、上振れしてしまったことが業績上振れの背景にあります。

 

以上を踏まえて、10月末から11月にかけての決算発表後に、アナリストは業績見通しの上方修正を迫られると見ています。見通しにかなり弱気バイアスがかかっていると思われるため、上方修正余地は大きいと考えてよいでしょう。

 

現在の日本株は底堅いながらもカタリスト不足で一進一退の動きですが、決算発表に連れて、業績は底打ちとの見方が広がり、日経平均は17000円を超えて上昇すると予想しています。

 

以上

 


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