株式市場見通し(17年1月13日)

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2017/1/13

経済調査部

部長 門司 総一郎

 

昨日のドナルド・トランプ次期米大統領の11日の記者会見は経済政策への言及がほとんどなかったのみならず、質疑応答では一部の記者と口論するという前代未聞の事態となりました。そうしたトランプ氏にあきれたのか、足元の株式市場は調整色を強めつつあります。今回は株式市場の見通しについて考えてみました。

日経平均の推移

まずトランプ氏の影響について考えてみます。大統領選前は「トランプ氏が勝利すれば大変なことになる」といわれていましたが、大統領選後は逆に「トランプ氏の政策は米景気にプラス」の声が強まり、円安・株高が進みました。いわゆる「トランプ・ラリー」です。

 

しかし、市場が期待する減税やインフラ投資については、いつまで経っても内容が公表されません。記者会見でもほとんど言及はありませんでした。一方、トランプ氏が強調したのは自動車メーカーへのツイッター口撃によるメキシコへの工場移転阻止や中国などとの貿易不均衡是正。内容不明の国境税に薬品の価格決定方式の見直しなど、株式市場にマイナスと思われるものばかりです。

 

ここに至って株式市場でもようやく「トランプ氏は思ったほどフレンドリーではない」との見方が出始めたようですが、それでもまだ120日の大統領就任式前後で減税やインフラ投資に関する発表を期待している向きは多いようです。

 

しかし、その可能性は低いと思われます。そこで発表できるものがあるのなら、既に言及していると思いますし、なによりトランプ氏にマクロ経済への関心があるようには見えません。それよりもツイッターで個々の企業や国(政府)をチクチクいじめる方が性に合っているように見えます。就任式でも何も出ず、一気に期待が剥げ落ちる可能性が高いでしょう。

 

その場合、株式市場は一段と下落することになります。もしこれまでの株高が全部トランプ氏への期待感によるものならば、全て剥げ落ちてしまうことになりかねませんが、その心配はないと見ています。なぜなら株高の主因はトランプ氏への期待ではなく、景気や企業業績の改善だからです。

 

例えば景気ですが、景気の先行指標と見なされる製造業の企業景況感指数は、日米ともに昨年春から夏にかけて底打ちし、上昇に転じました。グラフは添付していませんが、ユーロ圏や英国も同様です。足元でも企業景況感指数の上昇は続いており、先進国の経済は依然好調といえます。

 

米国の企業景況感指数

 

企業業績も好調です。トムソン・ロイターが集計したアナリスト平均の業績見通しに基づけば、昨年第4四半期のS&P500採用企業の1株当たり利益は前年比5.8%増、第3四半期の4.3%増から加速する見込みです(ちなみに今年の第1四半期は13.6%増の見通し)

 

また東洋経済の個別企業の業績見通しを大和証券が集計したデータによれば東証第1部上場企業の経常利益は2016年度が前年比5%減、17年度が10%増ですが、内外景気の好調や足元の円安などを考慮すれば上方修正が見込めるでしょう。

 

このように好調な内外の景気や企業業績が株式市場を押し上げたことが、トランプ・ラリーの実態です。もちろんトランプ氏への期待感で上昇した部分もあるので、その分は調整せざるを得ませんが、それだけであれば大きなものにはならないと見ています。

 

以上を踏まえて、就任式にかけてはトランプ氏への期待感が更に剥落することにより株価が下落する余地はあるものの、就任式前後でそうした調整は一段落。その後は景気や業績の改善が評価され、株式市場は上昇すると予想しています。

 

 

以上


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