「失われた20年」を越えて-日経平均2万円越えの意味

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2017/6/21

経済調査部

部長 門司 総一郎

 

「『失われた20年』を越えて」の続編です。62日に日経平均は2万円を回復しましたが、その後は一進一退を続け、なかなか本格的な2万円越えとはいきません。しかし、筆者は「失われた20年は終わった」との観点から日経平均は2万円を越えて上昇を続けると予想しており、今回の「市場のここに注目!」はそう考える理由を説明します。

 

日経平均の推移

 

バブル崩壊後の日経平均は2万円を上限とした長期のボックス圏で推移しています。ボックス圏での推移にとどまった理由は多々あります。例えば「割高なPER(株価収益率)の修正」、「銀行などの持ち合い解消売り」などがそうですが、ここでは政策と景気の観点から考えてみます。

 

失われた20年の観点に立てば、日経平均が2万円を上限としたボックス圏での推移にとどまった理由は、「景気回復が政策による一時的なものに止まり、持続的なものにならなかったため」ということになります。

 

失われた20(特に前半の10)においては、景気が減速すると景気対策や金融緩和、円売り介入などが発動され、景気は持ち直しました。しかし、こうした政策の効果は長くは続かず、一巡すると景気がまた減速する。こうしたことが繰り返されました。

 

景気回復が一時的なものであれば、株価上昇も一時的なものに止まります。これが日経平均が2万円を越えて上昇できなかった理由です。

 

失われた20年の後半には、財政赤字の膨張により財政による景気刺激策が困難になったこと、低金利が定着して金融緩和の効果が低減してしまったこと、ITバブルの崩壊やリーマン・ショックなど海外経済が不安定化したことなど、景気に不利な条件が重なり、日経平均が2万円に届くことすらできなくなってしまいました。

 

このように考えると、2万円を越えられない日経平均は失われた20年を象徴するものといえます(失われた20年はバブル崩壊以降の日本経済や株式市場の長期停滞を指すため、定義上当然といえば当然ですが)。逆にいえば、日経平均が2万円を越えて本格的に上昇することは失われた20年が終わったことを意味するといえます。その日は既に来ているというのが筆者の見方です。

 

日本経済は20161-3月から5四半期連続でプラス成長を続けています。しかも、その原動力は家計収入の増加に支えられた個人消費や、人手不足の影響を緩和するための設備投資などであり、景気対策や金融緩和などに依存したものではありません。政策に依存したものではないだけに、今後も景気の拡大が続く余地があると考えています。

 

企業業績も好調です。三菱UFJモルガンスタンレー証券の集計によれば、2016度の東証1部上場企業(3月決算)の経常利益は前年度比1.8%増、最終利益は16.0%増となりました。2016年度のドル円レートはは15年度に比べて、平均で12円程度の円高ですが、それにもかかわらず増益となったことから、日本企業は為替レートの変動に左右されない収益力を身につけたとの声が高まりつつあります。

 

海外の状況も失われた20年と様変わりです。欧州債務危機を最後に世界経済を揺るがすような危機は発生していません。米連邦準備制度理事会(FRB)は金融政策を非常時のものから平時のものにシフトするための出口戦略を進めつつあります。

 

日本ではまだ失われた20年が続いていることをを前提に考えている投資家が多いようで、そうした投資家の売りにより、日経平均は足踏みを続けています。しかし、今まで述べたように、既に日本株を取り巻く環境は失われた20年におけるそれと比べて大きく変わっています。そうした認識が広がることにより、日経平均は本格的に2万円を越えて上昇すると見ています。

 

今回の株高が政策を背景としたものではないことも、強気にみている理由の1つです。2015年に日経平均はいったん2万円を回復しましたが、その後反落しました。その理由の1つは、この日経平均の上昇が201410月の金融緩和(いわゆる黒田バズーカ2)をきっかけとしたものであることにあります。

 

政策による景気回復が一時的なものにすぎないことは何度も述べましたが、株価についても同じです。政策による株高は一時的なものにすぎません。しかし今回の日本株の上昇は自律的な景気の回復や日本企業の収益力改善などが評価されたものです。一時的なものでなく、持続的な上昇を期待してよいものと考えています。

 

以上を踏まえて、今回の日経平均の上昇は2万円を越えて続くものであり、同時にそれは失われた20年が終わったことを示すものであると考えています。

 

 


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