郵政選挙時との比較(その2)-バリュエーションと政治・政策

バックナンバーに戻る

経済調査部 部長 門司 総一郎

 

「郵政選挙時との比較」の第2回です。今回はバリュエーションと政治・政策を取り上げます。まず小泉純一郎政権と今回の安倍晋三政権における予想PER(以下、単にPER)の動きを比較してみます。

 

前回述べたように小泉政権では2回の大きな株価上昇波動がありましたが、2回ともPERは拡大しています。特に第2波(2005年5月18日から06年4月7日)において、PERは15.4倍(05年4月)からピークの20.3倍(06年1月)まで拡大し、株価上昇に大きな役割を果たしました。このPERの拡大が郵政選挙圧勝を受けた熱狂的な小泉改革ブームによるものであったことはご存知の通りです。

 

TOPIXの推移(月次)

 

TOPIXの予想PERの推移(月次、倍、今後12ヵ月ベース)

 

一方、安倍政権ですが、2012年11月に始まった株価上昇局面において、PERは11.4倍(12年10月)から15.5倍(13年4月)まで拡大しました。このPER拡大の理由は「金融緩和期待」で語られることが多いのですが、それよりも当初は民主党の「決められない政治」がようやく終わることへの安堵感、その後は金融緩和も含めた安倍政権への原動力だったと見ています。

 

しかしPERの上昇は2013年4月で終了。当時は「このまま15倍を超える」と思ったのですが、そこから15年1月までの21ヵ月の間、15倍を超えて上昇することはできませんでした。この辺の動きは2003年3月から8月まで拡大、そこから05年4月まで20ヵ月の間、緩やかに低下した小泉政権のPERに似通った動きです。小泉政権期にそこからPERが再度拡大、株価上昇の第2波が始まりましたが、今回その再現はあるのでしょうか?

 

答えは「イエス」と考えています。前述のように小泉政権の上昇第2波におけるPER拡大は郵政選挙の圧勝にありますが、今回それに代わるものとして、成長戦略の再加速があるからです。

 

今年に入ってからの当コラムで3回に分けて取り上げた「成長戦略のここに注目!」で述べたように、昨年ほとんど動きがなかった成長戦略はここに来て再加速しています。昨年末には法人実効税率の引下げが事実上決まり、地方再生戦略も閣議決定されました。

 

太平洋経済連携協定(TPP)交渉においては大筋合意の気運が急速に高まりつつありますし、春闘での賃上げムードも盛り上がっています。企業が製造拠点を国内に回帰させたり、海外から調達していた原材料を国産品で代替する動きも目立ってきました。

 

「小泉劇場」と呼ばれるような華やかさは安倍首相にはないため、小泉首相のように熱狂的なブームは期待できません。しかし「郵政民営化」一本槍の小泉首相よりも実績では安倍首相が勝ります。2月から3月にかけてTPP交渉妥結の確度が高まることや春闘で2年連続の大幅賃上げが決まることにより、市場参加者の関心が再度成長戦略に向かい、PERが15倍を超えて日本株が上昇するきっかけになると考えています。

 

以上、前回・今回と2回にわたって2005年と現在の日本株を取り巻く環境にはテクニカル、ファンダメンタルズ、バリュエーション、政治・政策と多くの面で共通点があることを述べました。したがって今年の株式市場が2005年の再来となる可能性は充分あると考えていますが、そのきっかけとなるのは成長戦略に対する市場参加者の再評価との見方です。

 


本資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、当社が信頼できると判断した情報源からの情報に基づき作成したものです。情報の正確性、完全性を保証するものではありません。本資料に記載された意見、予測等は、資料作成時点における当社の判断に基づくもので、今後予告なしに変更されることがあります。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断で行うようお願い申し上げます。

PICKUPコンテンツ