ギリシャ危機のここに注目!(その2)-今後の見通し

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経済調査部 部長 門司 総一郎

 

前回に続きギリシャ問題の2回目です。2月20日のユーロ圏財務相会合で6月までの支援延長が認められ、目先の危機は回避できることになりましたが、まだ関門が控えています。今回は今後の見通しについて考えてみます。

 

最初の関門は4月末に訪れるギリシャが提出した構造改革案をユーロ圏各国(以下、ユーロ圏)が承認する期限です。承認が得られなければ、72億ユーロの追加融資などの支援を受けられなくなってしまいます。ただ2月の支援延長を巡る交渉で最終的にギリシャが全面的に主張を取り下げたことから見て、ギリシャがここでことを荒立てる可能性は低く、4月末は無事通過と予想しています。

 

ギリシャ支援をめぐる今後のスケジュール

 

最大の関門は今回の支援が期限を迎える6月末以降の支援に関する協議です。7月、8月には欧州中央銀行が保有するギリシャ国債の償還などが控えているため、6月末で支援打ち切りとなれば、ただちにギリシャが債務不履行ということになりかねません。新たな支援策の交渉が予想される5月から6月にかけてが最大の山場です。

 

債務減免や緊縮財政撤回などがユーロ圏に一蹴されたため、ギリシャのチプラス首相にとって打つ手はほとんどないように見えますが、そうはいってもギリシャ国民にアピールするためには、ギリギリまで粘り強く交渉し、少しでも有利な条件を勝ち取らねばなりません。

 

またユーロ圏もギリシャを見捨てるとの選択肢は考えていないようですが、安易にギリシャの要求に応じると支援反対の自国民の反発を招きかねません。したがって最終的には新たな支援策が成立するものの、決着はギリギリまで先送りされると見ています。

 

確率は低いと思いますが、交渉が決裂する可能性がない訳ではありません。考えられるシナリオは2つあります。1つはギリシャに新たな支援者が現れることです。候補としてはロシアや中国が考えられますが、他に支援者があればギリシャはユーロ圏との交渉で強い態度をとることが可能になります。場合によっては交渉が決裂する可能性もあるという訳です。

 

しかしロシアはウクライナで手一杯でギリシャを支援する余裕はなく、中国は資金はありますが、遠く離れたギリシャを支援するメリットがありません。このシナリオの可能性はかなり低いと考えています。

 

もう1つはチプラス政権が崩壊して今以上に反緊縮を主張する政権がギリシャに誕生、あるいは決裂ではありませんが、ギリシャの政治が混乱して交渉が進まなくなるといったものです。

 

今回ギリシャは全面的な譲歩を余儀なくされたため、国内ではチプラス政権への不満が高まっている模様です。おひざ元である急進左派連合(SYRIZA)の中からも、今回の決着への非難が出ています。

 

特に注目されるのが、SYRIZAと連立政権を組む独立ギリシャ人党の動向です。この両者は政策面での一致がほとんどないにもかかわらず、緊縮財政撤回の1点だけで結び付いていました。それが不可能となれば連立が崩壊してもおかしくありません。独立ギリシャ人党の議席は13と少なく(議会の定数は300)、その影響は小さいと思われますが、それでも先ほどのシナリオに比べれば、こちらの方がまだ可能性はありそうです。

 

こうしたリスクには注意が必要ですが、その一方で2010年から12年にかけてのように、債務問題が欧州全域に拡大する可能性は低いと見ています。各国が財政の健全化を進めていることや欧州安定メカニズム(ESM)、ECBによる市場安定のために国債購入プログラム(OMT)などの安定化措置が整備されていることがその理由です。今回決定した量的緩和策も金融市場の安定に寄与するでしょう。

 

最後に株式市場への影響について考えてみます。新たな支援策をめぐるユーロ圏とギリシャの駆け引きが本格化する5月から6月にかけて、この問題は一時的にしても市場の不安定要因になる場面はあると見ています。ただし最終的には新たな支援策が成立すると見ているため、遅くとも6月末までには、問題解決を好感した株価の上昇局面があると予想しています。

 


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