日経平均2万円回復-ここまでの道のりを振り返る

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経済調査部 部長 門司 総一郎

 

4月10日、日経平均は一時20000円を回復しました。もし終値で20000円を上回れば、2000年4月以来15年ぶりのこととなります。今回は日経平均の20000円回復を記念して、ここまでの道のりを振り返ってみます。

 

日経平均の推移(週次、直近値は4月9日)

 

ここまでの株価上昇は典型的な2段上げの形です。1段目は2012年11月13日を底に上昇開始、13年12月30日まで上昇しました。そこから調整局面を経て2015年1月14日から2段目が始まりました。現在は2段目の初期の段階と考えています。

 

1段目の上げは悪材料が消えることにより、売られ過ぎが正常に、割安が中立に戻るプロセスです。これに対して2段目の上げは好材料が出る(将来の好材料を織り込む)ことにより、株価が上昇するプロセスで、株価が正常から買われ過ぎまで、あるいは中立から割高まで上昇することもあります。

 

1段目の上げが始まった直接のきっかけは2012年11月14日に行われた安倍晋三自民党総裁との党首討論で野田佳彦首相(当時)が解散総選挙を約束したことですが、この前後でさまざまな悪材料が消えた、あるいは収束に向かい始めたことが、1段目の上げの背後にあります。

 

世界的には、当時米国には財政の崖(2012年末に予定されていた減税措置の失効や歳出カット)、欧州には債務危機という大きな不安要因がありました。しかし、前者は何とか乗り越え、後者もその後収束に向かいました。その結果、2013年は日本のみならず世界の株式市場が大幅に上昇しています。

 

国内では2012年4月以来続いていた景気後退が11月に終了した他、円高も修正され始めました。また民主党政権下で続いた政治の機能不全も長らく日本株の重石となっていましたが、これも政権交代によって解消されました。このようにさまざまな悪材料がなくなることにより、長期的に見て売られ過ぎの水準にあった日本株が普通の状態に戻った。これが1段目の上げです。

 

一方、2段目の上げの原動力は日本企業の経営姿勢の変化、一言でいえば「チェンジ」です。

 

1段目の上げにおいて投資家は日本株に対する姿勢を「弱気」から「中立」に戻しましたが、「強気」には至りませんでした。それはまだ日本が「失われた20年」から脱却したとの確証を得ておらず、1段目の上げについても長期的にボックス圏の中での上昇に過ぎないと判断していたためです。

 

特に海外の年金やソブリン・ウェルス・ファンドなど3年、5年といった長い期間を前提とする投資家にとっては「今の日本は過去20年の日本と違う」と判断する根拠が日本株投資のためには不可欠です。日本銀行の金融緩和などでこうした投資家は動きません。なぜならそうした上昇は一時的なものでしかないからです。

 

しかし、コーポレートガバナンスの浸透により、昨年後半から日本企業の経営姿勢に顕著な変化が見え始めました。抱えていた現金を活用する成長投資を上場企業が相次いで打ち出し、それでも余剰な現金は配当や自社株買いによって株主に還元します。また今年の春闘では賃上げによって従業員に一部還元されました。

 

この企業の姿勢の変化は過去20年間に見られなかったものです。待ち望んだチェンジがついに表れたことが新たな投資家の資金を日本株に引き付け始めました。これが2段目の上げが始まった仕組みです。こうした企業の姿勢の変化を買う上昇なので、大胆な成長投資や株主還元、賃上げなどを打ち出した企業が物色されているように見えます。

 

これが日経平均が20000円回復に至ったプロセスです。目先は大台回復の達成感や利益確定売りなどから、しばらく頭の重い動きになる可能性はありますが、2段目の上げはまだ初期の段階にあり、今後もこうした企業の姿勢の変化を好感した上昇が年末にかけて続くと考えています。

 


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