株式需給のここに注目!(その2)-需給から見た日本株

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経済調査部 部長 門司 総一郎

 

前々回に続く「株式需給」の第2回です。今回は資金の流出入と株価の関係について検討します。なお文中の買い越し(売り越し)金額は、特に断らない限り現物と先物を合計したものです。

 

外国人買越額とTOPIX(月次)

 

前々回述べたように、バブル崩壊後の日本の株式市場では「外国人が買えば上昇、売れば下落」という状況が続きました。この期間の外国人の買い越し(売り越し)額と東証株価指数(TOPIX)の騰落率の関係は、1兆円の買い(売り)で5%の上昇(下落)です。

 

TOPIXと外国人買越額(98年1月から3月まで)

 

このように外国人の影響が大きかったのは、全体の取引に占めるシェアが高かったからだけではありません。それ以上に重要なのは、外国人だけがリスクをとって売買する投資家だったことです。

 

同じ注文でも直近の株価よりも高い(低い)値段で注文を出すと株価が動きます。しかし直近の株価と同じ値段で注文を出しても株価は動きません。「リスクをとる」というのは前者を指しますが、バブル崩壊後の日本でこうした売買をするのは外国人だけ。国内の投資家は「押し目買い、吹き値売り」に徹するばかりでした。これが外国人の影響力が強まった理由です。

 

しかし今年の日本株には外国人以外にもリスクをとって売買する投資家が複数存在します。日本銀行の上場投資信託(ETF)購入、公的年金の日本株組み入れ比率引き上げ、上場企業の自社株買いなどです。こうした投資家の資金の流入は、外国人買いと同様に日本株を押し上げると思われます(日銀は押し目買いスタンスなので、多少割り引く必要があるかもしれませんが)。

 

昨年末の段階でこの3主体による2015年の日本株買付額を合計8兆円(日銀3兆円、自社株買い3兆円、公的年金2兆円)と想定していました。前述の「1兆円で5%」を当てはめれば、日本株は40%上昇することになります。TOPIXは昨年末の1408から1971、日経平均は17451円から24431円です。

 

この8兆円は他の市場参加者と比べて、特に多く見積もっている訳ではありません。日銀の3兆円は既定事実ですし、自社株買いの3兆円は昨年実績と同額です

 

しかし、多くの市場関係者は見方はもっと控えめなものでした。年初の日経ヴェリタス(1月4-10日号)の市場関係者アンケートでは回答者平均の今年の日経平均の高値は20440円。昨年末比17%の上昇です (ちなみに自分の回答は25000円でした)。

 

ちなみに過去3年間の外国人の買い越し額は2012年4.5兆円、13年16.0兆円、14年2.5兆円。年平均7.7兆円なので8兆円の資金流入は外国人並みの買い手がもう1つ増えることになります。こう考えると、市場参加者は新規資金のインパクトを過小評価しているように思えます。

 

もちろん、景気の悪化や企業業績の大幅減などがあれば、8兆円の資金流入があってもそれ以上に売りが出て、株価が下落することになるでしょう。しかし、そうした予想外の悪材料がなければ、上述の資金流入の効果により、TOPIXや日経平均が大方の予想を上回って上昇することがあり得ると考えています。

 


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