総選挙のここに注目-衆院選は慎重に見るべし

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2017/9/27

経済調査部

部長 門司 総一郎

 

衆院解散・総選挙の報道を受けて日本株は一段高、東証株価指数(TOPIX)は年初来高値を更新しました。しかし、株式市場の反応とは逆に、今回の衆院選は安倍晋三首相にとって簡単なものではなく、株式市場の波乱要因となる可能性があると考えています。今回の「市場のここに注目」は、衆院選について慎重に見ている理由を説明します。

 

TOPIXの推移

 

慎重に見ている理由の1つは直近の週刊朝日に掲載された選挙結果の予測です。なおこの予測は希望の党の結党発表前のものです。

 

この記事で小林氏は自民党の獲得議席を27議席減、松田氏は18議席減と予想しています。また両者とも、自公合計では憲法改正発議に必要な310議席を下回るとの見通しです。この程度の議席減であれば、安倍氏にとって問題にはならないかもしれませんが、松田氏は条件次第で与党の議席が更に変動するリスクを指摘しています。

 

また、この記事にはもう一人ジャーナリストの野上忠興氏がコメントを寄せています。野上氏は「野党共闘や小池新党の姿が明確でない」として議席数の明言を避けました。(ただし自民党の議席については30議席から50議席程度減らす可能性がある」と指摘しています)。このように今回の選挙結果はプロにとっても、予想が難しいもののようです。

 

もう1つ気になる記事があります。923日付日本経済新聞の記事です。この記事は安倍氏が衆院解散を決断する前に自民党が実施した情勢調査では、最低でも与党で280議席以上は取れるとの結果が出たと報じています。言い換えれば、自公合計で憲法改正発議に必要な310議席を下回り、自民党単独では最大40議席程度議席を減らす可能性があることになります。

 

この40議席減をどう評価するかは難しいところですが、菅義偉官房長官は「大幅に議席を減らせば党内の批判勢力が黙っていない」と慎重だったそうです。

 

確かに任期満了が迫っているなどの事情でどうしても選挙をやらなければならない場合ならともかく、任期まで1年以上を残しているのに、解散総選挙を仕掛けて40議席も減らせば、党内からの反発は強そうです。菅氏がいうように選挙は見送った方がよかったように思えます。

加えてこの調査は「野党の候補者一本化を前提としない数字」(日経)です。野党共闘の行方次第では、自民党が更に議席を減らす可能性があることになります。

 

安倍氏は勝敗ラインとして自公で過半数の233議席を挙げています。この数字を下回ることはまずないでしょうが、クリアすればよいというものでもありません。大幅に議席を減らせば菅氏がいうように、党内からの批判が高まるリスクがあります。その場合は、政治の不安定化などを通じて日本株にとっての悪材料となることも考えられます。

 

これが今回の衆院選については慎重に見るべきと考える理由です。景気や企業業績の改善が続いているため日本株の上昇基調に変わりはないと見ていますが、衆院選の結果次第では一時的にしても下振れするリスクありと考えています。この点には注意が必要でしょう。

 


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