グレートローテーションは来るか?-高値を更新したTOPIX

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2017/10/12

経済調査部

部長 門司 総一郎

 

9月15日付「市場のここに注目-株式市場見通し」では「今後の日本株は、景気や業績の改善を評価しつつ割安感を修正する形で上昇を続ける」と述べました。その後の日本株はこの想定に沿った形で上昇を続け、1010日の東証株価指数(TOPIX)2015810日の水準を超え、アベノミクス開始後の高値を更新しました。

 

TOPIX(週次)

日本だけでなく、足元の株式市場は世界的に騰勢を強めつつあります。米国株が高値更新を続ける一方、5月以降下落していた欧州株も9月に入って上昇に転じました。今回の「市場のここに注目」は世界的な株価上昇の理由について考えてみます。理由は3つあります。景気の回復と企業業績の改善、投資家の株式に対する慎重な姿勢の修正です。

 

これまでも景気や企業業績は改善基調にあったのですが、投資家が様々なリスク要因を意識し過ぎたため、ファンダメンタルズの改善が素直に株価に反映されない状況が続いていたと考えています。今年であれば、欧州の国政選挙における反欧州連合(EU)政権誕生の可能性や米景気の下振れ懸念、北朝鮮の地政学リスクなどがそうしたリスクとして挙げられます。

 

しかし、欧州での反EU的な勢力の国政への進出は限定的なものに止まりました。また米景気についても8月末から9月初めにかけて発表された4-6月の実質国内総生産(GDP)改定値や米サプライマネジメント協会(ISM)8月製造業景況感指数が予想を上回って改善したことから、警戒感は薄らぎました。北朝鮮のリスクなどはまだ残っていますが、日欧の株価がいずれも9月に入って上昇に転じたことを見ると、この米景気に対する見方の変化が、投資家が株式に慎重なポジションを修正し、市場の流れが変わるきっかけになったと思われます。

 

米S&P500と欧STOXX600

 

流れが変わったのは株式市場だけではありません。債券市場では7-8月に低下した日米欧の長期金利がいずれも9月に入って持ち直しました。為替市場では米金利の上昇などからドルが対ユーロや対円で反発しました。景気や企業業績の改善は今後も続き、投資家が慎重なスタンスを修正する余地もまだあると見ていることから、株式市場の上昇を含む現在の市場の流れは当面続くと予想しています。

 

2013年頃、金融市場で「グレートローテーション」という言葉がよく聞かれましたが、これは投資家のリスク許容度が高まり、安全性資産からリスク資産への大規模な資金シフトが発生する状況を指します。2013年の場合は欧州債務危機や米国の財政の崖などを何とか乗り越えたことから、大規模な資金シフトが発生しました。日本でもアベノミクスが始まった年に当たっており、安全性資産からリスク資産への資金シフトが起きています。

 

投資家が慎重な姿勢を取っている理由が解消されつつある一方で、ファンダメンタルズの改善が続いていることを考えると、2013年に似た、安全性資産からリスク資産への大規模な資金シフトが起こる可能性ありと考えています。カギを握るのはファンダメンタルズ改善の持続性ですが、この点についてはまた別の回に取り上げる予定です。

 


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