グレートローテーションは来るか?-世界経済は好調持続

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2017/10/25

経済調査部

部長 門司 総一郎

 

 

前回に続き「グレートローテーション」についてです。前回「カギを握るのはファンダメンタルズ改善の持続性」と述べましたが、今回はファンダメンタルズのうち、景気を取り上げます。国際通貨基金 (IMF)の直近(10月)の世界経済見通しでは世界全体のGDP成長率は2017年、18年と2年連続で加速する見込みとなっています。どちらも前回(2017年7月)から0.1%ポイント上方修正されました。

 

 世界の実質GDP成長率(暦年、前年比)

 

またIMFは今回の見通しの序文で「2016年半ばに始まった世界経済の循環的上昇局面は力強さを増している。わずか1年半前、世界経済は成長が足踏みし、金融市場の混乱に直面していた。しかし現在状況は大きく変化し、欧州や日本、中国や米国で成長が加速している」と述べています。このコメントから、IMFが世界経済の先行きに自信を持っているように感じられます。

 

自分も当面の世界経済は大方の見方より強いと考えています。理由は3つあります。第4次産業革命、先進国の人手不足、新興国の景気回復の3つです。

 

第4次産業革命とは、様々な機器をインターネットに接続することにより大量のデータ(ビッグデータ)を収集。それを人工知能(AI)などを活用して分析し、新たなサービスの創出や生産性の向上に役立てるといったものです。

 

2016年の「情報通信白書」(総務省)は内閣府による中長期の経済見通し(ベースシナリオ)と比較して、ICT(情報通信技術)投資の経済貢献を考慮したICT成長シナリオでは、2020年度までに実質GDPが33.1兆円押し上げられると推計しています。

 

この試算は日本だけを対象としたものなので、世界全体では更に大きな効果が期待できることになります。このように第4次産業革命による景気の押し上げ効果が期待できることが、世界経済を強気に見ている理由の1つです。

 

 

2番目は先進国の人手不足です。直近の日本の失業率は2.8%(8月)、米国は4.2%(9月)と低水準。図にはありませんが、英国(9月)も2.3%と低い水準です。

 

ユーロ圏の失業率は欧州債務危機の影響で、日米の失業率がピークアウトした2009年以降も上昇しました。そのため、直近でも9.1%(8月)と他国より高い水準にとどまっていますが、それでも債務危機が峠を越えた2013年以降は急ピッチで低下しており、雇用が改善していることを示しています。

 

失業率の低下がここに来て効いてきたためか、米国では賃金の伸びが加速しています。9月の平均時給は前年比2.9%増、2009年6月以来の高い伸びとなりました。日本でも労働需給を反映しやすいパートやアルバイトの時給は伸びを加速させています。リクルート・ホールディングスによれば、今年8月の前年比伸び率は2.6%でした。自分の手元にデータがある2013年以降では最高です。

 

 主要国の失業率(月次)、新興国の政策金利(月次)

 

このように足元の先進国の人手不足は賃金の増加を通じて消費を押し上げると見ています。また企業が人手不足を補うための省力化投資を増やすため、設備投資にもプラスと考えています。これが世界経済を強気に見ている2番目の理由です。

 

3番目は新興国です。2015年まで多くの新興国では、通貨下落防止のため、政策金利を引き上げるケースが目立ちました。その結果、ブラジルなどでは景気が大きく悪化しました。しかし、2015年末までには新興国通貨への売り圧力が後退。それに伴ってブラジル、ロシア、インド、また図にはありませんが、インドネシアなどで金利が引き下げられるようになりました。

 

金利の低下に伴って景気にも改善が見られ始めました。今年4-6月のブラジルの実質GDPは前年比で0.26%増加しました。プラス成長は2014年1-3月以来です。今後もブラジルなどについては金利引き下げの効果により、景気は改善を続けると予想しています。この新興国の景気の持ち直しも世界経済を強気に見ている理由です。以上を踏まえて、今後も世界経済は好調を維持すると予想しています。                           

                                                                


 

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