株式市場見通し(2015年7月10日)

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経済調査部 部長 門司 総一郎

 

年初から日本の株式市場は上昇を続けてきましたが、6月24日に高値を付け下落に転じました。高値からの下落率は東証株価指数(TOPIX)が7月9日の安値まで▲6.0%、日経平均が8日まで▲5.4%です。今回の「市場のここに注目!」は、足元の日本株の下落について考えてみます。

 

日本の株価指数の推移(日次)・中国の株価指数の推移(日次)

 

日本株下落の理由は、a.ギリシャ支援問題、b.中国株の下落、の2つです。この他にこれまでの上昇に対する利益確定売りや天候不順による7-9月の景気下振れ懸念、安倍晋三内閣の支持率低下などが影響していることも考えられますが、9割方この2つによるものと考えてよいでしょう。以下、この2つの要因について考えてみます。

 

この下落期間の前半の日本株安に大きく影響したのはギリシャ問題です。ギリシャのチプラス首相が欧州連合(EU)によるギリシャ支援条件の受け入れを問う国民投票の実施を発表した6月27日の翌営業日の29日、また国民投票で支援条件受け入れ反対派が勝利した7月5日の翌営業日の6日、いずれの日も日本株は大幅安となりました。

 

一方、後半の株安の主因は中国株の下落です。中国株は今年に入って6月中旬まで日本株以上のペースで上昇しました。しかし、この上昇は景気や企業業績など実態面の改善を裏付けとしたものでなく、金融緩和や個人の信用取引を活用した買いなどによる投機的な上昇であり、割高であるとの指摘も多くありました。

 

この株価上昇は6月中旬に信用取引規制の強化などをきっかけに崩壊します。6月12日の高値から7月8日の安値まで上海総合指数、深せん総合指数共に▲30%を超える大幅下落となりました。この下落は日本株にも影響し、中国株が安値を付けた7月8日の日経平均は5月18日以来となる2万円割れとなりました。

 

このようにギリシャ支援問題と中国株の下落が最近の日本株の下落の背景です。その影響は日本株だけでなく止まりません。6月下旬から7月にかけて世界的に株式は下落しました。

 

しかし、足元では改善の兆しも出ています。まずギリシャですが、7月9日にギリシャ政府は新たな金融支援の条件となる財政改革案を債権団に提出しました。付加価値税の引き上げや年金の減額などこれまで要求されながら拒否していた項目にも踏み込んだもので、報道を見る限りではEU側にも評価されている模様です。

 

本日(10日)ギリシャの議会で承認を得て、その上でユーロ圏財務相会合やEU首脳会議で了解される必要がありますが、今までに比べると交渉決着の可能性が高まっているように見受けられます。

 

また中国株も7月8日の安値以降は2日連続で上昇しました。証券会社や政府系ファンドによる買い支え、新規株式公開の停止などの一連の株価対策がようやく効果を発揮し始めたようです。もっとも中国の株価対策の中には筋が良くないものが多く、中期的には問題が発生する可能性がありますが、当面これ以上の下落は回避できると考えています。なおこの中国の株価対策の問題点については別の機会に取り上げる予定です。

 

こうした中、日本株も落ち着きを取り戻しつつあります。今後もギリシャと中国次第の状況は変わりませんが、ギリシャの支援交渉が決着に向かい、中国株が下げ止まれば、日本株も回復に転じると考えています。

 

冒頭述べたように、天候不順や内閣支持率低下などの株価抑制要因があり、一本調子の上昇にはならないと見ていますが、それでも7月下旬には環太平洋経済連携交渉の大筋合意などの好材料が見込まれていることなどから、徐々に本格上昇に転じるとの見方です。

 


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