米国株式市場見通し(2015年7月21日)

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経済調査部 部長 門司 総一郎

 

前回は日本株の見通しを取り上げましたが、今回は米国株の見通しについて考えてみます。今年の米国株は、ここまでボックス圏で推移しています。NYダウは一時最高値を更新したものの、基本的には17500-18000ドルを中心としたレンジです。

 

この間日本やユーロ圏の株式は20%前後上昇しており米国株の出遅れが目立ちます。この相対的な米国株の弱さには、a.1-3月の景気の落ち込み、b.業績の伸び悩み、c.利上げへの警戒感、の3つの原因があります。

 

NYダウ(日次)、米実質GDP成長率(四半期、前期比年率)

 

まず景気ですが、1-3月の米国の実質GDP成長率は0.2%減(前期比年率、以下同じ)、マイナス成長となりました。悪天候や西海岸での大規模ストライキなどの特殊要因に加え、原油安を受けたシェール・オイル関係の投資の落ち込みも影響しました。

 

しかし景気の足を引っ張った要因は概ね解消されています。悪天候は過去のものですし、ストライキも終了して港湾の稼働は正常化しました。シェール・オイル関係の投資にも下げ止まりの兆しが見えてきています。一方で雇用増に伴う消費の拡大が続いていることもあり、当社では米国の4-6月、7-9月の実質GDP成長率は2.6%、2.9%に加速すると予想しています。

 

企業業績も低迷しました。S&P500採用企業の前年比増益率は1-3月が2.2%、4-6月はアナリストの平均予想で-2.2%が見込まれています(7月20日現在)。業績不振は原油安やドル高の悪影響によるものです。特に原油安が打撃となったエネルギー関連企業の業績は1-3月が58%の大幅減益。4-6月も59%減益が見込まれています。

 

米S&P500採用企業の増益率(四半期、前年同期比)、ドル円とユーロドル(日次)

 

ただし、景気同様に業績もここからは回復が見込まれています。まず為替レートについてですが、3月以降ドルは対ユーロでほぼ横ばい。対円ではドル高ですが1ドル=125円までの小幅のドル高に止まっており、このまま行けばドル高の業績への悪影響は徐々に薄らぐと考えています。原油価格も3月に安値を付けた後は下げ止まっているため、原油安の影響も今後薄らぐとの見通しです。

 

一方で前述のように今後米経済の成長は加速すると見ていますが、これにより業績も押し上げるとの見方です。ちなみにアナリストの平均予想でもS&P500採用企業の前年比増益率は4-6月に底を付けた後、7-9月は-0.7%、10-12月は4.0%、来年1-3月は8.7%と増益率は高まると予想されています。

 

3番目は利上げへの警戒感ですが、今年に入って欧州中央銀行(ECB)が大規模な量的緩和(QE)を開始、日本銀行も高水準の資産購入を継続しています。その一方で米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げ開始のタイミングをうかがってきました。この金融政策の方向性の違いも米国株の弱さの一因です。

 

しかし最近の米国株は、イエレンFRB議長の議会証言など利上げ開始を示唆する報道に、前ほど敏感に反応しなくなっており、利上げ開始が相当程度株価に織り込まれたことを窺わせます。開始後の利上げペースについては3ヵ月に1回、0.25%引上げ程度のきわめて緩やかなペースでしか進まないと見ていますが、その程度であれば米国株への影響は軽微であると考えています。

 

このように今年ここまでの米国株は他の先進国に比べて出遅れていますが、出遅れの原因であった景気や業績は既に改善しつつあります。またFRBの利上げ開始についても相当程度株価に反映されており、これ以上の悪材料にはならないとの見方です。以上を踏まえて年後半の米国株はボックス圏を脱し、年末にかけて上昇すると予想しています。

 


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