株式市場見通し(2015年8月25日)

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経済調査部 部長 門司 総一郎

 

6月以降頭の重い展開となっていた世界の株式市場は8月半ばから急落しました。先週から昨日にかけて日本の東証株価指数(TOPIX)、日経平均、米S&P500や欧州STOXXなど主要株価指数はいずれも10%前後下落しています。今回はこの世界的な株安の背景と今後の見通しについて考えてみます。

 

日本株式の動き(日次)、欧米株式の動き(日次)

 

株価は急落しましたが、この間経済指標の大幅な悪化や利上げなど明確な悪材料があった訳ではありません。株安の理由として指摘されるのはまず中国の景気悪化懸念、次に米国の利上げ開始です。この他に新興国通貨の動揺もありますが、これは前述の2つに派生する問題といえます。

 

中国経済については、上海総合指数が7月の安値を割り込んだことや人民元レートに関する政府の迷走、天津の爆発事故などから投資家の間で不安感が高まったと考えています。ただ経済指標はそれほど悪化しておらず、懸念は行き過ぎのようにも見えます。

 

中国株式の動き(日次)、中国株の信用取引買い残高の推移(週次)

 

例えば7月の小売売上は前年比10.5%増、6月の10.6%増から減速しましたが、株価の下落を考慮すると底堅いともいえる数字です。また先週発表された8月の製造業景況感指数は世界的な株価下落の理由にされましたが、7月の47.8から47.1と小幅に低下したに過ぎません。

 

逆に6月から7月にかけて住宅価格が上昇した都市数が27都市から34都市に増加する一方、低下したのは34都市から29都市に減少するなど改善を示す指標もあり、中国経済に対する弱気な見方はやや行き過ぎと考えています。

 

米国の利上げについてはつい最近までは9月利上げ開始で間違いなしの雰囲気でしたが、今回の世界同時株安により、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月は利上げを見送る可能性が高まったと考えています。利上げ見送りは市場の安心感に繋がると期待されます。

 

中国経済に対する弱気な見方が行き過ぎであることや、米利上げが先送りされることなどにより、各国の株式市場は今後回復に向かうと見ています。また足元の株式市場の出来高増も、株価の底入れを示すシグナルと考えています。

 

昨日の東証第1部の売買代金は4.1兆円、21日の3.2兆円から急増して今年3月13日以来の高水準となりましたが、出来高の急増は日本だけでなく、世界各地で見られる現象です。これはいわゆる「セリング・クライマックス」であり、今後の売り圧力緩和を示すものと思われます。また中国株についても信用取引の買い残高は6月のピーク2.3兆元から1.4兆元まで減少しており、反対売買による売り圧力も以前よりは軽減している模様です。

 

以上を踏まえて、世界の株式市場は足元がほぼ安値であり、ここからは持ち直すと見ています。当社では日米欧の景気は来年にかけて改善すると見ていますが、その場合株式市場も持ち直しを続けることになるでしょう。米国の利上げ見送りなども、株価の回復を後押しすると予想しています。

 

中国経済については、前述のように足元の経済指標はそれほど悪くないことや、今後政府の景気対策や中国人民銀行の預金準備率引き下げなどが見込まれることから、大きく悪化する可能性は低いと見ています。ただ政策の混乱などにより中国経済が下振れするリスクに注意は必要でしょう。

 


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