門司総一郎のMarket Report  トランプ大統領のここに注目②-予想される人気取り政策-

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2018/4/13

経済調査部

部長 門司 総一郎

はじめに

米中の関税引き上げ合戦がエスカレートしていますが、トランプ氏の思惑通りには進んでいないようです。中間選挙をにらんでトランプ氏が通商分野以外でも、人気取りのための政策を打ち出す可能性は高いと見ていますが、今回の「市場のここに注目」は今後予想される政策と、その政策が株式市場に与える影響について考えてみます。

主要通貨の対米ドルレートの推移

政策の筆頭は減税の拡大

今後予想される人気取り政策の筆頭は、昨年12月に成立したばかりの大型減税の見直しです。見直しの対象は、8年の時限立法となっている個人所得税減税の恒久化と、株式譲渡益課税の税率引き下げですが、議会共和党とトランプ氏はこの追加減税を中間選挙の公約の目玉に位置づけると見られています。

また、インフラ投資も有力です。トランプ氏は2月の一般教書演説の際、10年間で1.5兆米ドルを老朽化した道路や橋などのインフラへの投資に充てることを表明しました。先日成立した2018-19年度の予算にはインフラ投資の予算を盛り込むことができなかったため、すぐに動くことはできませんが、それでもトランプ氏はインフラ投資の予算を認めるよう、議会への働きかけを続けると思われます。

 

高圧的外交政策と企業バッシング

その他に考えられるのは、高圧的な外交政策です。現時点で、トランプ氏はシリアへの軍事行動をほのめかすことにより、同国やロシアに圧力をかけています。今後北朝鮮などに対しても同様の手法をとる可能性はあるでしょう。また、先日トランプ氏は米国の郵便制度に損害を与えていると、アマゾン・ドットコムを非難しました。大企業を槍玉に挙げて口撃をする、というトランプ氏の行動は、今後も行われる可能性があります。

株式市場への影響

ここからはこうした政策が、世界の株式市場に与える影響について考えてみます。減税やインフラ投資は通常なら株価にプラスですが、今回はマイナスの可能性の方が高いと見ています。というのは、金融市場では財政赤字への警戒感が高まっているからです。特に為替市場では昨年初めから対円、対ユーロ共に米ドル安が続いています。米国の金利が上昇して米ドル高になってもおかしくないところなのに、米ドルが弱い理由というのは、米国の財政赤字への警戒感があるからと考えるべきでしょう。この考えが正しければ、追加減税やインフラ投資は米ドル安や債券安を引き起こし、それが金利の上昇や輸入物価の上昇を通じて景気や株式市場にマイナスになると予想されます。

一方、外交政策や企業バッシングの影響は限定的と考えています。昨年の今頃も中東や北朝鮮の地政学リスクが株式市場に影響を与えましたが、一時的なものにとどまりました。地政学リスクについては、経験則的には影響は限定的といってよいと思います。企業バッシングはその対象となった企業への影響はありますが、株式市場全体への影響という意味では小さいと考えてよいでしょう。

株式市場はボックス圏から上昇へ

以上のように今後もトランプ氏から様々な施策が打ち出されると予想しています。その多くは株式市場にとっての重石になるため、今後もしばらく世界の株式市場はボックス圏で推移すると考えられます。一方、前回(2018年4月5日発行)述べたように、トランプ氏の政策ラッシュは9月から10月にかけてピークを迎えると予想されることから、その後の株式市場は上昇に転じると見ています。

 

 


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