リスクシナリオの明示的点検プロセスの重要性

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国内債券運用部長 佐藤 宏樹


3月25日、「リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2015セミナー」が開催されました。
当社は同アワードの債券部門の最優秀運用会社に選出され、当日開催されたパネルディスカッションに、パネラーとして参加してきました。

 

パネルディスカッションでは、日本株市場に対して非常に明るい展望が示されました。

私も、「20年間続いたデフレ局面で日本企業が筋肉質に転換したのだから、今後20年程度の回復は想定できる、という大局観は皆さんに賛成です。」「2020年に向けて財政政策は決してブレーキを踏まず、金融政策はアクセルを踏み続けると想定しています。長期金利を抑制しながら、経済成長とインフレを促すことで、株式や不動産といったリスク資産には追い風が吹き続ける。」という趣旨の発言をしました。

 

ただし、日ごろの癖で、リスクシナリオの可能性もあえて付言しました。「短期的視点かもしれないが、溜まりに溜まったドルのロングポジションが解消された際の株式市場に与える影響なども考えておいたほうが良い。このシナリオも小脇に抱えておくべきではないでしょうか。」とあえて全体の流れに水を差すコメントもしました。

 

当社の国内債券運用においては、リスクシナリオを重視しています。
直近の事例を2つ紹介します。

 

1. 1月中旬以降の金利上昇前のロングポジション解消

メインシナリオは、「日銀の国債買い入れと世界的なインフレ抑制見通しを背景とした長期金利の継続的な金利低下。」
リスクシナリオは、「原油価格下落の一服感から過剰に織り込んだデフレシナリオの修正、各種ボラティリティ指標の上昇に伴うリスクプレミアムの上昇、各国中銀の予見可能性の低下にともなう不透明感の上昇を背景とした、ロングポジションの解消による金利反転。」を検討していました。
そして、リスクシナリオの蓋然性が高まったと判断し、金利上昇直前にベンチマーク対比1年程度のロングポジションを中立化しました。
その後、金利低下を主導した20年国債利回りは、1/20の0.85%から2月中旬には1.3%台まで上昇しました。

 

2. 4月下旬以降のグローバルスティープニングへの対応

メインシナリオは、「日銀の買い入れオペ継続、ECBのQE継続、緩慢な米国景気モメンタムをサポートにした金利の低位安定。」
一方、リスクシナリオは、「ドル高反転にともなう世界的なインフレ期待の上昇や既存ポジションの解消を主因にしたグローバルベアスティープニング。」
4月は、両シナリオを天秤にかけつつ慎重に保有していたロングポジションを、1日遅れましたがゴールデンウィーク前の月末に中立化しました。

 

このように、当社では、ポートフォリオで保有するポジションが奏功するか否か、多方面からモニタリングをしています。その重要な機能の一つが、リスクシナリオの点検です。リスクシナリオを常備しているからこそ緊急時に迅速な対応が可能になるわけです。

 

*〈「リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2015」について〉
「リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2015」は、世界各都市で開催している「Lipper Fund Awards」プログラムの一環として行われ、日本において販売登録されている国内および外国籍ファンドを対象に、優れたファンドとその運用会社を選定し、表彰するものです。選定/評価に際しては、リッパー独自の投資信託評価システム「リッパー リーダー レーティング システム (リッパー リーダーズ、Lipper Leaders)」の中の「コンシスタントリターン(収益一貫性)」を用いています。

 


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