アジア債券市場への期待

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外国債券運用部 片山 恵

 

近年、グローバリゼーションの進展に伴い、欧米を中心としたグローバル金融市場のなかでアジア市場の存在感が大きく高まっています。株式市場では上海証券取引所の売買代金がニューヨーク株式市場を上回り、また中国の銀行が資産規模でトップとなるなど大幅な変化が起こっています。

 

最近ではアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設が話題となっています。増大するアジア圏のインフラ投資需要を日米が主導するアジア開発銀行(ADB)では賄いきれないため、当該銀行で代替・補完することを目的としていますが、背景には中国の、
① アジア全域のインフラ投資需要の活用
② 欧州に至る第2のシルクロード敷設「一帯一路構想」を通じたアジア経済圏の強化
③ 地政学的な問題を抱える西太平洋・インド洋・アラビア海における主導的役割強化
という“一石三鳥”を狙った戦略が考えられます。かかる中国の戦略にもかかわらず、欧州や英国を初め56か国は中国の需要やアジアの将来性に着目し、AIIBへの参画を決定しました。中国の急速な台頭やアジア優位のルール設定など課題は残りますが、2010年から2020年迄に8.3兆ドル(約1,000兆円)とも言われているアジアのインフラ投資需要への期待を反映した動きと言えます。

 

また足元ではTPP協議が大きく進展していますが、これはオバマ大統領がアジアからの締め出しを警戒し、アジアにおける米国基準のルール存続を確保しようとする姿勢の表れと考えられます。

 

2000年以降のアジアの株式市場拡大と同様にアジア債券市場も2000年以降着実に市場規模の拡大を続けています。(図1 ご参照)ただし、為替の規制や資本規制、直接金融の成熟度、流動性の不足などの理由により、株式市場対比では相対的に拡大ペースが緩やかとなっています。

 

しかしながら、世界経済におけるアジア経済の重要性や中国主導でのインフラ投資環境整備が進むことで、債券市場においてもアジアの位置付けが大きく変貌を遂げる可能性があります。アジア域内での大規模なインフラ事業や、中国主導での大口融資の増加、それに伴うアジア諸国のインフラ投資需要を背景としたAIIB債の発行が展望されることから、アジア債券市場発展への期待は今後高まるでしょう。

 

主要国債券市場が長引く超低金利政策による低利回りに苦しんでいる状況を勘案すると、高成長を続けるアジア経済とアジア地域における債券市場の動向に目が離せません。アジア債券市場の6割を占める中国はもとより、アセアン6ヵ国(図2ご参照)の中で、イスラム金融で注目されるマレーシア社債市場や高利回りで魅力の高いインドネシア債券市場なども更に注目が高まると予想されます。当社では、流動性やファンダメンタルズの変化に注意しつつ、アジアの経済分析や債券投資についても継続して取り組んで参ります。

 

アジア債券市場規模の推移

 

アセアン6ヵ国の債券市場規模の推移

 


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