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トルコ -トルコの政治情勢不安定化とトルコリラの動向-

2017/11/21

<トルコと米国の関係が悪化傾向に>

2017年10月、昨年7月にトルコで起きたクーデター未遂事件に関連した捜査で、在イスタンブール米総領事館のトルコ人職員が拘束されたことを背景に、トルコ、米国の両国がビザ発給業務を停止しました。11月に入ってビザ発給が部分的に再開されましたが、その後、NATO(北大西洋条約機構)の軍事演習でトルコのエルドアン大統領とアタチュルク初代大統領が「NATOの敵」として取扱われた問題を巡って、トルコが演習から軍を引き揚げたことや、米司法当局が対イラン経済制裁に違反したとして起訴したトルコ実業家の初公判を巡ってトルコのボズダー副首相が「明確な陰謀」と米国を非難するなど、トルコと米国の関係悪化が懸念されています。

<トルコリラの動向>

ビザ発給業務停止による金融市場の混乱から、トルコリラは一時、対米ドルで今年4月以来の水準まで下落しました。その後、ビザ発給の部分的再開によって上昇する場面もみられましたが、NATO軍事演習中の対立やトルコのボズダー副首相の発言を受けて再び急落、トルコリラは対米ドルで過去最安値に迫っています。
11月20日の海外終値は1米ドル=3.93トルコリラ、1トルコリラ=28.66円となっています。

<今後の見通し>

トルコリラについては、堅調な個人消費や、最大の貿易相手であるユーロ圏の景気回復基調を受けた輸出の増加などを背景に、トルコ経済の中長期的な成長が期待されることに加え、相対的に高金利であることが支援材料となっています。
一方、トルコと米国の関係悪化が引き続きトルコリラの重石となると予想されます。原油価格の上昇やトルコリラ安などを背景としたインフレ率の上昇なども懸念材料です。トルコの政治情勢や金融政策など、今後の動向を注視する必要があると考えられます。

トルコリラ為替の推移

出所:Bloomberg

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