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2018/3/19

株式運用第一部

部奈 和洋

 

 

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

来期、再来期を見据えた企業の戦略を伺っていると、原材料費、物流費などのコストアップを心配している声が数多く聞かれます。そのなかでも私が注目しているのは、“人”に関するところです。日本企業にとって人手不足感の高まりは、将来的にも大きな課題で、以前から省人化投資はいろいろと行われています。一方で、3月17日付の日経新聞は、「2018年の春季労使交渉は正社員の月例給を底上げするベースアップ(ベア)に議論が終始する従来型の交渉と一線を画した」とし、非正規社員への手当や長時間労働の是正や休みの取り方など、様々な焦点が出てきていることを報じています。このように、“人”への投資も様々な形で増やしているようです。しかし私が話を伺っている多くの企業では、こういった投資によって利益の拡大にまでつなげられている企業は少ないと感じています。そのような中で、遊園地を再生させた企業の社長と面談させていただいた時の話が興味深かったので、ご紹介しつつ、少し考えてみたいと思います。

 

同社は数千万円の営業赤字だった遊園地を2016年に買い取り、わずか1年程で約5億円の営業黒字に転換させました。これだけを聞くと、大幅な人員や取引業者の削減などを実行したのではないかと思われるのではないでしょうか。私も話を伺うまではそう思っていました。しかし実際は反対で、取引業者は変えず、若い人を社員として採用して効率化を促したことが業績改善の背景でした。同社が遊園地を買い取った直後の社員数は70人で、そのうちの70%以上が40代以上になっていたそうです。そこで新卒を中心に積極採用を行った結果、昨期末の社員数は90人となり、さらに今期末の社員数は120人まで増やす計画で、40代以上の比率は40%台に低下する見込みです。採用の増加と並行して、業務のマルチタスク化や、駐車場の自動精算機導入なども行ったことで、これまでアルバイトにかなり頼っていた仕事を大幅に削減でき、実際の人件費増は大きくないレベルとのことでした。社員だからこそマルチタスク化ができ、毎年の改善活動も可能になるだけでなく、若い人の増加により特定犬種のオーナーのオフ会を開催するなど新しいアイデアも出てきている印象です。

 

派遣法の改正もあり、正社員化は一つの流れになっています。例えば、クレジットカード大手のクレディセゾンは全従業員の55%に相当する非正規社員を正社員化することを打ち出しました。他にもファンケルは直営店で勤務する契約社員を正社員にし、ヤマト運輸は5月からフルタイム宅配ドライバー全員を正社員として採用することなどを発表しています。私は、このような企業から「正社員化による好結果」が出てくるかに注目しています。結果が出れば更なる改善も可能になるでしょう。そのため、積極的に制度を変えようとしている企業に注目し、良くなりそうな企業を発掘していきたいと考えています。

 

ちなみに蛇足ではありますが、弊社は最近、交通費・経理精算システムを導入しました。私はこれまでアシスタントの方に全て任せきりだったこともあり、初めは自分で処理をするのは面倒だと感じましたが、これも小さなマルチタスク化と思い直して使っています。

 

 


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