供給不足の時代に輝く3つの企業

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2018/3/26

株式運用第一部

上石 卓矢

 

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

「30年ぶりに生産能力不足を懸念している。」資生堂の経営者の発言です。同社は国内売上減少に伴い工場閉鎖や減産を続けてきましたが、訪日外国人の増加などで化粧品が売れるようになり、最近では商品供給不足が最大の課題となっています。自社工場の製造能力だけではなく、化粧品の原材料や容器といったサプライチェーン全体で供給がひっ迫しています。

 

資生堂に限らず、日本全体でも供給不足が深刻です。図表1の短観加重平均DI(企業のヒトと設備の過不足感を総合的に示す指標)によれば、足元の供給不足は1991年以来26年ぶりの高水準です。それにもかかわらず、供給過剰の時代と同じ経営戦略や投資戦略をとる人がいます。

 

需給ギャップと短観加重平均DI

 

供給過剰と供給不足では何もかもが違います。図表2は両者の違いを示していますが、ヒトやモノが余っている供給過剰時には、需要増加と供給削減が会社全体の目標となります。生産部門は不採算拠点を閉鎖、人事部門は人件費を削減し、購買部門は調達コストや在庫の削減、財務部門は現金確保や財務健全化に努めます。一方、ヒトやモノが足りない供給不足時には、供給増加が会社全体の目標となり、生産能力の増強、人手や部材の確保などに尽力します。資生堂を例にとると、前・中期経営計画までは全社的構造改革によるコスト削減を進めていましたが、現・中期経営計画では供給体制の再整備を重要課題とし、自社工場での生産キャパシティ増加、需要拡大と連動した材料調達に取り組んでいます。

 

株式投資においては、供給過剰時にはコストカットの得意な会社が輝きますが、供給不足時には『ヒトを雇える会社、モノをつくれる会社、投資の上手な会社』にスポットライトが当たると考えています。普通の企業が採用しない人材を上手に活用できる会社、正社員化の推進や給料の大幅引き上げができる会社、経営者や会社の魅力で人材が集まる会社などは人手不足の時代にこそ競争力を発揮します。また、不況期に生産ラインやサプライヤーを必死に維持してきた企業、需要予測・購買・生産管理・製品数削減をしっかり行った上でフル生産をこなせる企業なども実力を見せる時期です。加えて、供給不足時にはカネ余りのことが多いため、財務再建よりも設備投資や企業買収が重要であり、投資の巧拙が問われます。

 

なお、供給過剰時には受注や売上の増加がそのまま増益要因になりやすいものの、供給不足時には人件費・外注費・配送費・広告宣伝費・減価償却費などの増加によって思ったほど利益が出ないことがあります。そうした利益低迷で株価が下落した際に、株式投資をするかしないかの基準は、『ヒトを雇える会社、モノをつくれる会社、投資の上手な会社』かどうかだと思います。

 


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