伸びる金融

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2018/4/9

株式運用第一部

部奈 和洋

 

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

先週は貿易戦争というマクロの話だけでなく、マネックスグループによるコインチェック株式会社の買収も市場の話題となりました。その買収金額やスキームもさることながら、コインチェック株式会社の業績も注目されました。17年3月期の営業利益が7億円強だったそうですが、空前の仮想通貨ブームとなった今期については明らかにされませんでした。ただ、4月7日付の日経新聞は、「18年3月期の利益は1,000億円程度まで膨らんだとみられる」と報じています。なお、同社の従業員数は17年7月末で71名だったようで、リスク管理体制に問題があったとはいえ、少人数でこれだけの収益水準、増益率をたたき出していたとすれば驚かされるとともに、新しい金融分野の可能性を感じさせるものだと思います。

 

“お金を借りたい企業や人”と“お金を貸したい企業や投資家”をインターネット上で結びつける融資仲介サービスのソーシャルレンディングも新しい金融分野として注目されています。日本でこの市場を牽引する企業の方と面談する機会を得て、事業構造などを教えていただきました。同社の売上は5年で10倍以上になっていることや、借り手は10%以上の高金利で借りていること、投資家属性としては30歳代までが半数を占めていることなどを伺い、驚きました。このようなサービスが普及する背景は、既存の金融機関が規制によって融資が難しいことや、融資決定までのスピードが大きく異なることが挙げられるようです。将来的には、現在覆面化されている借り手情報の透明性が引き上げられるように規制が変更になったり、英国と同様にNISAの対象となったりすれば、もっと普及が加速するように思われました。家計の金融資産が高齢者に偏在している日本において30歳までの利用が多いことや、貸し手はもちろん、借り手のニーズはまだまだあることも踏まえると、この分野の将来も楽しみです。なお、現状ではこの分野でも管理・運営が未熟に見える業者が存在しているようですので、投資の際はご留意ください。

 

矢野経済研究所は、上で紹介したようなサービスを含む国内FinTechの市場規模について、2015年度で約50億円だったものが、2021年度には約800億円まで拡大すると予測しています。上で紹介したサービスの他に、モバイル決済やクラウド型会計ソフト、ロボアドバイザーのような投資・運用サービスなども注目されています。国も法律の再編などを通じて、後押しすることが見込まれています。

 

一方、既存の金融機関はどうでしょうか。最近では、コスト削減に伴うITの活用を今まで以上に打ち出したりしていますが、市場からの評価は高まっていません。銀行株指数はアベノミクスが始まって以来の5年間、概ねTOPIXをアンダーパフォームしており、株価水準は割安と言えると思います。

今後業務自動化などのIT活用や、新しい分野からの恩恵を取り込むなどすることによって、業績が伸ばせることを示せば、評価が高まる可能性はあると思います。

 

国内FinTechはあまり注目されていない業界なだけに、既存の金融機関の動きも含めて、今後も注意深く見ていきたいと思います。

 

 


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