半導体から受動部品へ

バックナンバーに戻る

2018/5/22

株式運用第一部

永田 芳樹

 

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

はじめに

 ここ数年、世界中のあらゆる人の生活の中に「情報革命」が入り込んでいます。2010年頃からカメラ、音楽プレーヤーなどあらゆるものを一つにまとめつなげてきたスマートフォンは、もはや成熟商品となりました。

すでに「情報革命」の主役はアマゾン、グーグルに代表される「データ」を持つ企業に移り、株式市場でもこれらの企業や、データの蓄積を担う半導体製造装置株に資金が集中してきました。

「情報革命」は引き続きメインテーマ

日本の株式市場でも「情報革命」は引き続き相場のメインテーマですが、この3月の年度決算発表後の株価から大きな変化が生まれてきました。下のグラフは日本の代表的なテックセクター4社の株価騰落率の推移を示したものです。

東京エレクトロンやディスコは、半導体関連の代表銘柄です。これまではパソコンが主流だったためDRAMの需要が高かったのですが、情報革命によりモバイル端末やデータセンターの記憶媒体としてNAND型フラッシュメモリの需要が爆発的に増加しています。また、自動車の電装化によりこれまでエンジン制御など限られた部分にしか使われなかったコンピュータが、タイヤ、バンパーなど末端に設置されたセンサーを通じて車体全体を制御するようになりました。日本の軽自動車にも自動運転機能が搭載されるほど大衆化が進み、自動車のデジタル化は半導体需要を爆発的に増加させる期待を市場に産み出しました。その代表例が半導体製造装置の東京エレクトロンであり、ディスコです。ここ数年、テックセクターの上昇をけん引してきた2銘柄ですが、2017年11月頃を境に上昇が一服しました。アナリストの業績予想が下方修正され始めているディスコに至っては、大きく下落しています。東京エレクトロンにしても業績予想は上方修正されていますが、株価はなんとかフラットを保っている状態です。

一方、セラミックコンデンサーの太陽誘電、アルミ電解コンデンサーの日本ケミコンは直近急騰しています。この2銘柄はコンデンサーの製造・販売が中心で、パソコンやモバイル端末の需要により業績が左右されるイメージが強く、また為替の影響も受けやすいため電子部品セクターではあまり注目されてきませんでした。

この一因はその総称にあるかもしれません。コンデンサーや抵抗、コイルは「受動部品」と呼ばれます。一方、半導体そのものであるトランジスタや集積回路は「能動部品」と呼ばれ、なんとなくポジティブで技術的に難しそうなイメージを持たせます。

 

株価騰落率の推移

需要が拡大する「受動部品」

では「受動部品」とは、どういった機能のものなのでしょうか。電子部品が使われるとき、必ず電気が流れます。その仕組みを回路と呼びますが、回路は半導体だけでは構築できません。半導体で電気を制御するときに「受動部品」が必要となります。つまり回路を組み立てるには半導体と「受動部品」が必要なのです。

今後、自動車のデジタル化やIoTの広がりにより半導体の需要がますます拡大すると考えられますが、それと共にコンデンサーなど「受動部品」の需要拡大も期待されます。使用環境が安定しているパソコンやモバイル端末に比べ、今後需要が拡大する自動車で使用される電子部品は、これまでと違った厳しい環境におかれます。また、例えばIoTで靴にセンサーが埋め込まれると電源が必要になります。その電気は圧力で発電し、安価なコンデンサーに蓄電するかもしれません。このように、これからの時代は受動部品の重要度が高まると考えられます。

変わる情報革命の牽引役

 私が今回の決算で受動部品会社の社長の話を聞いて感じたのは、今までになく需要に対して自信を持っていることです。そして単なるコンデンサーでも顧客の要請は多様化しており、これまでになかった大きな容量や性能のものが大量に求められています。

長年これらの株式に投資してきた私には、「情報革命」の牽引役が受動部品へ広がっていく未来が薄っすらと見えてきました。

 

 


■当資料は情報提供を目的として大和住銀投信投資顧問が作成したものであり、 特定の投資信託・生命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。 ■当資料は各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を 保証するものではありません。 ■当資料に記載されている今後の見通し・コメントは、資料作成時点におけるレポート作成者の 判断に基づくもので、事前の予告なしに将来変更される場合があります。 ■当資料内の運用実績等に関するグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を 約束するものではありません。 ■当資料内のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。

PICKUPコンテンツ