変わる銀行

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2018/5/29

株式運用第一部

部奈 和洋

※このレポートでは、日本株ファンドマネージャーが注目しているトピックなどを毎週お届けします。

 

はじめに

人手不足感がかつてないほどに高まっている日本において、異彩を放っているのが銀行業界だと思います。例えば、3メガバンクはITを強化することで、今後5~10年をかけて、3社で数百カ店の店舗と、数万人の人員を削減する方向性を示しています。これらの効果を考えようと思って訪れたのが、北陸を本拠とする地方銀行です。同行は、先にあげた店舗の削減を先行して行っており、それに伴い人員も削減してきた実績があります。

今では店舗についてはピーク比で約▲30%、人員については約▲20%程度になっています。高齢化・人口減少など社会構造の変化を背景に経済環境は厳しさを増していますが、コスト削減が効いて収益水準を概ね保つことができています。ちなみに全国銀行協会に加盟している銀行の店舗数、従業員数の推移は以下の通りですが、不良債権処理で経営が苦しかった時以降は、概ね横ばいで推移していることが分かります。

 

全国銀行協会加盟銀行 店舗数

コスト削減のために行ったこと

訪れた地方銀行は2000年頃に不良債権処理に伴って初めての赤字に陥ったあたりから本気でコスト削減に取り組むようになったそうです。具体的には、エリア制の導入による店舗の統廃合、事務作業の集約化などです。リーマンショック後にはさらにコスト削減を推し進めたようです。これらはすべて意識改革と、ツールの活用によってもたらされたとおっしゃっていました。意識改革については、残業をしなくても仕事をこなせるように、無駄なことはやめるなどを徹底したそうで、その結果としてペーパーレスを実現しています。

オフィスも見学させていただきましたが、個人の机にキャビネットがないだけでなく、オフィス全体としてほとんど棚がないため、遠くまで見渡せる空間になっていました。他にもグループウェアの活用や、電話の取次業務の削減を狙って携帯電話を導入していることもあって、フリーアドレスや在宅勤務もすぐに実施可能な環境とおっしゃっていました。今ではほとんど残業はなくなっており、これもコスト削減に効いたようです。

ツールの活用によるコスト削減

次にツールの活用の面では、IT化の推進がメインです。先に挙げたこと以外にも、タブレットのSurfaceを使ったことで、どこでも作業が可能になっています。例えば、気分転換のために食堂で作業ができたりするだけでなく、営業担当者は訪問先で顧客の様々なニーズに応えられたりするようになっています。また、後方事務を一つの事務センターに集約化していることも、効率化を進めるツールの一つとのことです。このように同行はシステムに非常に力を入れてきました。今後は新技術の取り込みや、さらなるコスト削減を目的として、勘定系システムのクラウド化を検討しているようです。コミュニケーションはしっかりととりつつも、最悪の場合は顧客が離れてしまってもやむを得ないとの強い意思を持って、カスタマイズを極力避けてシステム開発を行ってきたことが活きているようです。

銀行訪問を終えて感じたこと

訪問を終えて感じたこととしては、店舗、人員の削減を実現できれば、大きなコスト削減効果があることが分かりました。一方で、実現するには、様々な意識改革が必要とされそうです。先行コストが発生する可能性があることから、短期的な利益の下押しも懸念されます。従って、経営陣がどれだけ腹を括って取り組めるかにかかっているような印象を持ちました。

 

 


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