門司総一郎のMarket Report  業種別構成比のここに注目-ITが支える日本の企業業績-

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2018/5/7

経済調査部

部長 門司 総一郎

はじめに

日本の企業業績が好調です。2015年から2017年までの3年間通算の増益率は北米や欧州などのそれを大きく上回っていますが、この業績好調の理由の1つに、日本では第4次産業革命の恩恵を受ける企業が多いことがあげられます。今回は第4次産業革命と日本の企業業績について考えてみます。

各国企業の増益率の推移

日米は第4次産業革命の恩恵を享受 

第4次産業革命は、人工知能(AI)やモノのインターネット(IOT)など新しい技術を活用した産業や社会の変化を指します。第4次産業革命は既に経済や株式市場に大きな影響を与えています。例えば、世界の株式市場の動きを示すMSCIのオールカントリー・ワールド指数と情報通信(IT)関連株指数の動きを比較すると、第4次産業革命という言葉が使われ始めた2015年から今年の4月末までワールド指数は24%上昇しましたが、これに対してIT関連株指数はワールド指数を大きく上回り、62%上昇しました。

 

世界株式と情報通信関連株式の推移

 

国・地域別に見てIT関連株の比率が高いのは米国です。MSCIのデータでは、米国株におけるIT関連株の構成比は24.2%です。米国には及びませんが、日本でもIT関連株は12.7%と一定の比率を占めています。これは資本財サービス、消費財サービスに次いで第3位です。なお資本財サービスにはロボットなどの産業機械メーカーも含まれます。こうした企業の存在も考慮すると、第4次産業革命の恩恵を享受している企業は更に増えることになります。

欧州対比では日本株に魅力あり

一方、欧州は日米と状況が異なります。英国ではIT関連株の構成比はわずか0.8%、欧州(除く英国)でも6.6%に過ぎず、第4次産業革命の恩恵は日米に比べて小さいと考えられます。欧州で構成比が高いのは石油関係などエネルギーや金融です。

日米と欧州では、株式市場におけるIT関連株の存在感が対照的です。この観点から見れば、第4次産業革命の影響がまだ続くと想定すると、欧州でなく米国や日本に投資すべきといえるでしょう。なお、IT関連株の比率が高いにもかかわらず米国の増益率がそれほどでもないのは、IT関連株以外の増益率が押しなべて低いことによります。

大和証券の「グローバル・インベスティング(2018.4)」によれば、米国は2017年に二桁増益となったのは、全11業種中、IT関連とエネルギー、素材の3業種だけだったのに対し、日本では、通信サービスを除く全業種で二桁増益が見込まれています。このように、日本の好業績はIT関連が牽引役ではありますが、それだけにとどまらない、オール・ジャパンでの成果だと考えています。

 

 


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