企業業績のここに注目 -2018年4-6月期決算は良好-

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2018/8/22

経済調査部

シニア・エコノミスト

門司 総一郎

はじめに

2018年4-6月期の決算発表はほぼ終了しましたが、個人的にはかなりよい決算だったと考えています。今回の「市場のここに注目」では、この決算について見てみます。

2018年度の企業業績は好調な出だし

三菱UFJモルガン・スタンレー証券(以下、三菱UFJ)の集計によれば、東証第1部上場企業の2018年4-6月期決算(8月14日時点)は売上高が前年比4.5%増、経常利益が同12.9%増、当期利益が同10.9%増です。東芝の半導体事業売却などの特殊要因はありますが、昨年度の決算発表がほぼ終了した今年5月22日時点での三菱UFJ集計のアナリスト平均の2018年度通期の業績見通しが、それぞれ前年比2.4%増、同7.3%増、同1.2%増であったことを考えると、今回の決算は評価できると考えています。

 

2018年4-6月期決算実績(前年比)

 

牽引役となったのは電気機器(以下、電機)です。ファナックといった自動化関連やアドバンテストなどの半導体関連が好決算を発表しました。また時価総額で電機と並ぶ自動車(輸送用機器に分類)においては、トヨタ、ホンダ、スズキなどが最終増益、日産、マツダなどが減益と明暗が分かれましたが、全体としては増益です。

 

また、今回の決算に影響を与えたのが原油高です。商社(卸売に分類)や、石油・石炭などのセクターにとっては利益の押し上げ要因となりましたが、逆に電気・ガスや海運、空運などの業績には重石となりました。また人手不足も今回の決算に影響を与えました。建設や小売(特に外食)にとっては、人件費の上昇が逆風となりましたが、人材派遣会社などにとっては追い風となった模様です。8月11日付の日本経済新聞朝刊では「人材サービス8社最終増益」と報じています。

アジアで稼ぐ日本企業

日本企業にとってのアジア市場の重要度が高まっていることは周知の事実ですが、今回の決算でもその傾向が見受けられました。例えば三菱商事は今回4-6月期としては純利益が過去最高を更新しましたが、前述の原油高に加えて、東南アジアでの自動車販売が好調だったことも寄与しました。また花王や資生堂なども好決算を発表しましたが、これも中国を始めとするアジアでの販売好調が理由です。最近はアジア、特に中国というとリスクと感じる方が多いようですが、消費関連の企業についてはそれほど神経質になる必要はないと考えています。

2018年7-9月期以降も好調を見込む

このように好スタートを切った日本の企業業績ですが、株式市場では慎重な向きが多く、株価は一進一退を続けています。これはトランプ氏の通商政策が世界経済に悪影響を与え、企業業績も悪化するとの見方によるところが大きいと思われますが、当コラムで何度か述べている通り、既にトランプ氏は貿易戦争において打つ手がなく、早期に撤退を迫られると予想しています。この前提に立って考えると、貿易戦争によって世界経済が大きく悪化する可能性は低く、日本の企業業績は2018年7-9月期以降も好調が続くとの見通しです。

 


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