日本株の魅力を高める内需関連企業の海外進出

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2018/12/4

経済調査部

シニア・エコノミスト

門司 総一郎

はじめに

日本の株式市場では「内需関連」、「輸出関連」という言葉がよく使われます。前者は国内の需要に依存している企業を指し、業種でいえば食品、小売、不動産などが含まれます。後者は輸出依存度が高い企業を指し、電機、自動車、機械などが含まれます。

しかし最近は、これまで内需関連と目されていた企業の海外進出が活発化し、両者の垣根は低くなっています。

そこで、今回の決算発表を参考に内需関連企業の海外進出について考えてみました。

内需関連企業の海外進出

海外事業が今回の決算に寄与した内需関連企業

まず今回の決算発表で見られた内需関連企業の海外事業が業績に寄与した事例を紹介します。小売ではセブン&アイ・ホールディングス、イオンなどが海外事業の寄与もあり、好決算を発表しました。特に、セブン&アイ・ホールディングスは米国でのコンビニ事業が、イオンは東南アジアの小売り事業がそれぞれ大きく貢献しました。ファーストリテイリングについても中国や東南アジアの貢献が大きかったようです。

1964年に台湾に事業所を設置したヤクルト本社は海外進出の老舗ですが、中国や東南アジアで現地の所得増加を追い風に事業を拡大しています。同様の傾向は化粧品や生活用品など、他の消費関連企業の間でも幅広く見受けられるものです。

消費関連以外の海外進出

このように海外進出を進めている内需関連企業の多くは消費関連ですが、今回の決算発表では三井不動産や鹿島のように消費関連以外でも海外事業が全体の利益に貢献している事例が見受けられるようになりました。その中でも注目されるのがリクルート・ホールディングスです。2012年の米インディード買収などリクルート・ホールディングスはM&Aを活用して事業を拡大してきました。同社社長は「2020年に人材会社で世界ナンバーワンを目指す」との目標を掲げています。

内需関連企業の海外進出が重要と考える理由<その1>

ここまで述べたように内需関連企業の海外進出は進んでいると判断していますが、これは日本株の魅力度を高めるものであり、歓迎すべきものと考えています。そう考える理由の1つが人口問題です。将来の人口減を理由に日本株投資に二の足を踏む外国人投資家はいるでしょう。特に海外の年金やソブリン・ウェルス・ファンドのような長期の投資家にその傾向は強いかもしれません。しかし内需関連企業の海外進出が進めばどうでしょう。人口減の痛みが緩和されることになるため、そうした投資家も人口問題をそれほど気にせず日本株に投資することが可能になるかもしれません。

内需関連企業の海外進出が重要と考える理由<その2>

もう1つは投資対象となる銘柄の問題です。以前海外で投資家を訪問した際に「日本株で買えるのは電機と自動車だけ」といわれたことがありますが、日本株について同じような印象を持つ外国人は多いでしょう。「日本株は為替レート次第」との声が依然多いことを考えると、日本人でもそう思っている人が多いのかもしれません。

しかしここまで見てきたように、日本には電機や自動車以外にも、世界市場で収益を上げている企業はいくつもあります。内需関連企業の海外進出がさらに進んで、日本には電機や自動車以外にも有望な企業があるとの認識が広まれば、日本株の魅力は高まるでしょう。こうした観点からも、内需関連企業の海外進出は日本株にとっての重要なテーマと考えています。

 


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